「鬼滅の刃」の必殺技専門解説が話題…武術の第一人者が手掛ける「武術アクションチーム」とは
今春から「リアルRPG」をスタートさせた和のテーマパーク「伊勢忍者キングダム」ではリアルにこだわり、5月に「武術アクションチーム」を結成した。主宰する「日本甲冑合戦之会・ガチ甲冑合戦」の横山雅始代表は国民的ヒット漫画「鬼滅の刃」の必殺技を専門的に解説したことでネットでも話題になった人物。武術の第一人者の指導の下、従来の殺陣とは違った迫力あるアクションを追求していく。
三重県伊勢市にある「伊勢忍者キングダム」では“リアル”をキーワードに存在感を示していく考えだ。今春からスタートした「リアルRPG」はゲームの世界を実際に生身の人間がリアルに体験しようとするもので、施設全体がRPGに没入するための異世界として存在。各役割を演じるスタッフ一人一人が完全に異世界の住人になりきっている。
そんな中、もうひとつリアルにこだわって5月に結成されたのが「武術アクションチーム」だ。「日本甲冑合戦之会・ガチ甲冑合戦」の横山雅始代表が指導責任者となり、従来の殺陣とは違ったリアリティーと迫力のあるアクションを追求し、若手を育成しようというものだ。
ガチ甲冑合戦は国内だけではなく海外からも注目を集めているリアルさと歴史検証も兼ねた合戦イベント。これまで「桶狭間の戦い」「大阪夏の陣」「天正伊賀の乱」などを再現してきた。横山さんはこれらガチ甲冑合戦から得た戦闘シーンの経験も盛り込んで、武術アクションチームを指導しており、いわば武術の第一人者と言っていい。この7月には「鬼滅の刃」(作者・吾峠呼世晴)に出てくるたくさんの「必殺技」を横山さんがインタビュー形式で解説。武術アクションチームによる画像や動画はニコニコ動画などで配信され、大きな話題ともなった。
ご存じのように「鬼滅の刃」は、大正時代を舞台に鬼狩りが人を喰らう「鬼」を滅ぼすまでを描いた冒険物語。主人公の竈門炭治郎をはじめとした「鬼殺隊」が、敵の鬼と一戦交える際に用いる「日輪刀(にちりんとう)」「呼吸法」などについて前編、後編とに分けて横山さんがユニークなコメントを寄せており「鬼滅ファン」にはたまらない構成となっている。
「武術アクションチーム」はこれまでの殺陣とは違い、リアルさを追求しているのが大きな特徴。チームの一員でアクション系のイベントや舞台などに数多く出演してきた平健二郎さんによると「武術」と「殺陣」には違いがあるようだ。
「両方とも身体や武器を使って相手と戦う共通点がありますが、武術は、自分を守り、敵に勝つことが目的。自分自身のために行います。一方、殺陣は観客や視聴者などに魅せるためのもの。本質は観客の為なので、ワイヤーアクションなどを含むいろいろな技術を使って、よりハデに、らしく魅せる事が大切になってきます」
武術アクションは、この2つをうまくマッチングさせ、リアルな表現方法として確立することを目指す。安全な道具や防具を使いつつ、実際の戦いと同様に、相手に当てたり投げたりして戦闘シーンを構成するのが大きな特徴だ。
平さんは「武術アクションは言語の壁を越えて、世界の人たちをリアリティーと迫力の空間に誘えるものでありたいと考えて、日々練習しています」と話しており、今後もリアルさにこだわっていく。
最後にこの8月からチームに加わった新人2人を紹介しよう。中俣有輝也さん(21)は「殺陣というものは少しだけ習っていたのですが、武術を絡めたリアリティーのあるものを実際に芝居として使うことを知り、興味を持ちました。基本はまだ出来ていないのですが、精一杯学んで将来は武術アクションを自分の演技の中に生かしていきたいです」と意気込む。
橋田洋平さん(29)は、新型コロナの影響で方向を転換した一人。「東京で芝居を続けるのが困難になる中、足踏みして立ち止まるより、自分を磨くことが最善なのかなと思い、参加させてもらってます。舞台にしろ、映像にしろ、絵になる動きができるようになれたら」と話している。
(まいどなニュース特約・山本 智行)