新型コロナウイルスの影響で、居酒屋などの飲食店にも「ニューノーマル」の波が訪れている昨今、3密を回避した形態で営業している店が多く見受けられる。そんな中、ネットで「風通しの良いテラス席。本格焼鳥を自分で焼いて食べられる店『やきとり家 すみれ』」なる店を発見。これは気になるではないか。

　調べてみると、株式会社すみれ(東京都渋谷区)が運営し、全国で100店舗以上も展開する「やきとり家　すみれ」では、2020年8月8日からテラス席のある店舗限定で「自分で焼く本格焼鳥」を楽しめる「テラスで焼き鳥」を初めて実施しているとのこと。これは焼き鳥片手にビールが大好きな私が見逃すわけにはいかない。早速、行ってみることに。

　事前の情報ではテラス席があるのは下北沢店と学芸大学店とのこと。それぞれまた違った街の雰囲気があるためしばし長考したが「学芸大学！君に決めた！」ということで渋谷から東急東横線に揺られること10分弱、久しぶりの学芸大学駅に降り立った私は、幾ばくかの懐かしさを覚え、いささか感傷的な気分になったが、これから焼き鳥とビールだということを思い出したら急にテンションアップ。いざ出陣！

　駅から歩くこと1分、見えて来ましたお目当ての店「焼き鳥家　すみれ」の看板。駅から徒歩1分もない好立地だが、一本路地を入っただけで非常に閑静な一角。ウッドデッキ調でオシャレなたたずまいだ。店の中に入ると手前側が全てテラス席で20席弱はあるだろうか。店内は落ち着いた雰囲気でカウンター席、テーブル席、そして座敷席もある。

　しかし、今日は焼鳥を焼くために来たのであるからして、その旨をお店の方に告げるとテラス席へと案内された。うむ。なかなかにオシャレではないか。光がうっすら差し込み、周りに植えてある樹木の緑も清々しい。実に開放的である。こんな開放的な場所で焼鳥を自分で焼いて、酒を飲むなんてまるで、そう、ビアガーデンや野外でバーベキューをしている感覚になること間違いなし。海も山も行けなかった私の夏はまだ終わってはいなかった。

　感動している場合ではない。まずは飲み物を注文するとしよう。外の気温は35度近く、その暑さを振り切るために、まずはビールをグビッと、思ったところ、ん？これは何だ？目に飛び込んだのは「ガチレモンサワー」の文字。聞いてみると、レモンを凍らせて氷がわりにしたレモンサワーとのこと。中身がなくなっても「中身(追加のサワー)」を注文して入れられるのでコスパも良い。では…両方で(笑)。

　そして、お待ちかねの料理を注文。まずは焼鳥。ひなトロ、ぼんじり、ねぎま、つくねを注文。ひなトロは柔らかく程良い脂身のある「ふりそで」と言われる部位だ。これらを卓上焼き器で焼いていく。焼鳥屋さんさながら、焼き目に気を遣いつつじっくり焼いて返してを繰り返す。つい会話に夢中になると、手元が疎かになるので注意すべし。

　さて、焼けた頃合いを見計らい昆布塩をふって「ひなトロ」を一口。「甘い！」最初に出た言葉が「甘い」である。焼け目の香ばしさとジューシーな脂と柔らかい肉。甘い肉の旨味が凝縮されている。すみれの鳥肉は全て「大山どり」を使用しているとのこと。アツアツの焼鳥を頬張り、例の「ガチレモンサワー」で流し込む。「キンキンに冷えてやがるっ！悪魔的だ！」(笑)。

　メニューに目を通すと魅惑的な料理が並んでいる。さて次は「大山どりとほうれん草の瞬間燻製」と「大山どりのチーズカツレツ」にしよう。しかし、瞬間燻製とは何ぞや？と考えているうちに到着。皿の上にガラス製のボウルを載せたような感じであるが、中が見えない。ボウルの中に真っ白な霧のようなものが詰まっていて中が見えないのである。

　お店の方がボウルをゆっくり開けてくれると、その隙間から白い霧がゆったりと抜けていく。そして完全に開けた時にはまさに雲散霧消、霧はなくなり中身が露わになった。それと同時に鼻を通り抜ける燻製の香り。そう、ボウルの中にチップを燻したスモークを注入していたのだ。中から現れたのは、ほうれん草のソテーの上にささみの燻製が載っている逸品。風味豊かで味わい深い。

　もちろん、チーズカツレツもパフォーマンス豊かな料理。大山どりのカツの上に、あつあつとろ～りチーズを目の前でたっぷりとかけてくれる。外はサクサク、中はジューシーなカツにとろ～りチーズ、想像しただけでおわかりだろう。

　ここ「すみれ」では小学生以下のドリンク無料という優しいサービスもあり、子連れ客も多いという。雰囲気もオシャレなのでカップルにもオススメだ。好評につき、セルフのテラス焼き鳥は9月末まで期間を延長する話も出ており、今後は店舗を全国に拡大予定とのこと。コロナの影響で今年はバーベキューができなかった方々はぜひ行ってみてはいかが？私の場合は…。次は下北沢店！君に決めた！

(まいどなニュース特約・上村 慎太郎)