言いたいことが言えないという悩みを描いたエッセイ漫画がSNS上で話題になっている。

件の作品は独特のタッチで人気上昇中の漫画家、人間まお (@ageomao)さんによるもの。

まおさんはある日、「日給3万円」というチラシを見て日雇いアルバイトの登録会に行くのだが、いざ話を聞くと「だいたい時給千円からスタートして、ランクアップすれば日給3万円になる」というおかしな説明。割り切れなさを感じつつも何も言えず、あわや登録……という窮地に立たされたまおさんだったが、たまたま一緒に説明を受けていた若い女性がきっぱりと断ったことに便乗して運よく難を逃れられたということ。なんとも鬼気迫るストーリーだ。「30にもなって言いたいことが言えない人間が尊敬する人種」とのコメントとともに、Twitterに投稿された。

「言いたいことが言えない」……これはどういった心理によって引き起こされるものなのだろうか？作者の人間まおさんインタビューしてみた。

中将タカノリ（以下「中将」）:まおさんが言いたいことを遠慮してしまうのはなぜでしょうか？

まお:気まずい空気なるのがとにかく苦手で、だったらだまっていればいいやと言えなくなるんです。断わることで相手に嫌な思いをさせることや、自分が嫌われてしまうのではないかと思ってしまうんです。友人が言えずに困っている時はなぜか言えるんですが……。

中将:この漫画のエピソード以外にも、言いたいことが言えず失敗してしまったことはたくさんあるんでしょうか？

まお:エステや勧誘で断れずお金を払ってしまったり、入会してしまうことはよくあります。

タクシーで道を間違えられた時も「いつもと違うけどもしかしたら私の知らない別のルートがあるのかも」とずっと黙ってしまいました。違う目的地に到着して、間違えた分の料金は弾いてくれましたがいつもより高かったです。そしてそのことも言えずに払いました。

中将:言えないことでいろいろと損をしてしまっているようですね……まおさんがいつか大事件に巻き込まれないことを祈るのみです。

漫画に登場する女性がきっぱり言いたいことを言う様子を見て、後に生かせたことはありますか？

人間まお:あそこまではきっぱり言えませんが、しつこい勧誘も粘り強く断り続けるようになりました。以前は途中で面倒くさくなって折れてしまっていたのですが……。

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まおさんをインタビューしていると、なんだか自分の話を聞いているように思えてきた。そう、僕も言いたいことが言えない側の人間で、いざ人前に出ると頼みを断ったり強い自己主張することが苦手なタイプなのだ。文章で書く分には平気なのだが……。

これは優しさとか自分に自信があるなしとは別次元の話で、もはや生まれつきの性分なのだと思う。ガンガン言いたいことを言ってやりたい放題している人を見ると一瞬「いいな」と思うのだが、よくよく考えると「やっぱりあんな風にはしたくないな……」と開きなおってしまうのだ。

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【人間まお プロフィール】

2018年「くず系女子。アラサーまおのカオスな日常」（KADOKAWA）でデビュー。

看護師と兼業して主にエッセイ漫画のジャンルで活躍している。

連載中の作品一覧

・オペ室看護師転生漫画「私、オペ看なんですけど異世界で役に立ちますか？」（リイドカフェ）

・ブログ「人間まおと愉快な仲間たち」

・ブログ「父の若者に伝えたい恋愛ブログ」

（まいどなニュース特約・中将 タカノリ）