保護した子猫は肉付きが悪くエイリアンのよう…しかし強気で大物だった 先住猫を押しのけてがつがつ食事
雨が降る日、友人から公園で「子猫を飼わないか」と言われた長尾さん。保護主は、野良猫にエサだけ与えて不妊手術をしない人で、友人の友人だった。子猫はやせっぽちの小さな猫だったが、思いのほか気が強く、先住猫を押しのけるようにしてがつがつ食べた。
■エサを与えたはいいが、猫が妊娠出産
2008年6月11日、大阪府に住む長尾さんは、近所の公園で友人から「子猫を飼わない?」と言われた。その公園で友人の友人が野良猫にエサを与えていたのだが、子猫を産んだので保護したのだという。エサだけ与えて不妊手術をしないため、子猫が産まれる。こうしたケースは後を絶たない。子猫は生後2カ月くらいだった。
長尾さんは、同じ公園で5月に男の子の子猫はちくんを保護したのだが、男女ペアで飼って、将来、ハチくんの子を見てみたいと家族で話していた。友人には「女の子やったらほしいな」と言った。保護した人が子猫を連れてきていたので会ってみると、女の子ではなく男の子だった。
「でも、飼うと決めていたのでもらったんです。肉付きが悪くてエイリアンのような猫でした」
■強気なちびっこ、れおくん
家に連れて帰ってはちくんと対面させると、はちくんはあとずさりして尻尾をふくらませ、シャーっと威嚇したが、子猫は黙っていた。数日後にはじゃれあうようになったが、男の子同士だからなのか、子猫がはちくんを攻撃しているように見えるほど激しく遊んだという。
名前はれおくんにした。
12月、れおくんの姿が見えなくなった。部屋中探しても見当たらない。家族総出で探したら、4階のベランダから落下して、花壇の草むらに落ちてぐったりしていた。
「翌朝、動物病院で診てもらったのですが、肝臓が弱っていたので3日間入院させることになりました。その時、獣医さんに『この子は大きくなれないかもしれない』と言われました。はちと同じようにごはんを食べさせているのに、なぜか小さかったんです」
長尾さんの心配をよそにれおくんは、がつがつ食べてしっかりした体つきの猫になった。はちくんはごはんを置いてもちょこんと座って待っているが、れおくんははちくんをはねのけるように食べる。大人しく見えるが気が強いのだという。
■ 府営団地のペット会
長尾さんは府営団地に住んでいる。本来ならペットを飼えないが、ペットを飼えるモデル住宅になっているのだという。モデル住宅には、全住民の80%以上の了承が必要になる。ペットを飼っている人と飼っていない人、双方が穏やかに暮らせるようにペット会という会を運営している。
「予防注射を必ずしたり、ペットを連れている人が使うエレベーターを決めたり、規約を作っています。毎月一度団地の掃除をしていますし、クレーム処理をすることもありますね。会費は、細かなことにも使いますが、震災があった時にペットの非常食を買うためにも貯金しています」
集合住宅で犬や猫が好きな人と嫌いな人が共存していくのは難しいが、ペット会のような会があれば、問題があっても前向きに解決することができるのではないだろうか。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)