40代母親が話題のオンラインゲームに挑戦! 意外にどハマりしちゃって…「これはトラブルになるな」と実感した話
子どものゲームトラブルで多いのが、オンラインゲーム。Twitterでもよく話題になっています。私のところに保護者から相談が来る場合、その保護者は「自分がやったことないからよくわからない」と前置きすることが多く、ゲームの内容についてまったく知らないのが現状です。しかし今回は試しにやってみたら自分がはまってしまった!というある母親の話です。
■試しのつもりで…年齢の登録は「20歳」で
オンラインゲームは色々ありますが、例えば、数名のプレイヤーで戦いを繰り広げるというものがあります。
小学生の娘さんを持つAさん(40代)は、子どもがやりたいと言ったので試しにどんなものかとやってみたそうです。
彼女は、年齢を20歳で登録し、最初は仕組みをしろうと始めましたが、結果的に自身も昼間や夜にやってしまうほどどっぷりはまってしまったそう。なぜオンラインゲームで、トラブルが起きやすいのか、母親(Aさん)が、ゲームをやり感じたことを聞いてみました。
■ボイチャで飛び交う罵倒
Aさんは40代。その世代のゲームといえば古くはファミコンが主流です。ゲームで遊ぶにしても1人やその場に友人たちが集まり遊ぶのがほとんどでした。しかし、今はネットで知らない人と繋がって遊ぶことができます。
オンラインゲーム内には、ボイスチャットを使ってオンラインで友人や知らないプレイヤーと繋がりやりとりをします。ボイスチャットは、「ボイチャ」と略されリアルタイムにメッセージを交換するシステムであるチャットの中でも、文字ではなく音声を使います。
ゲーム中にこのボイチャで聞こえてきたのは、まだ幼い子どもの声。しかもその声から発されるのは「おい殺すぞ」「早くしろよ」「死ねよ」「キモイ」「雑魚」という言葉。
そもそもバトルゲームなので、興奮して言葉遣いが悪くなくなってしまうのは理解できます。お互いがゲームの中だけとわかっているならいいけど、これがきっかけで、このような言葉遣いを現実の生活でも使用してしまい、友達とトラブルになることが多いよう。同じ学校の友達同士でやっている場合、上手い下手で喧嘩になることもあり、ある男の子が「こいつがドコソコ中のダレソレだよ」と言ったり、ひどい時には住所を暴露されているのをみて恐ろしいと感じました。
大人ですらゲームやSNSで暴言をはいてトラブルになる人が多いわけで、一定数こういう事が起こってしまうことは理解ができます。
■ネットで恋愛がはじまる
Aさん、オンライン上で20歳と登録をしたら、男性からたくさんメッセージが届いたそうです。成人ならまだいいのですが、なかには中学生や高校生の男の子も。
ある日ゲームを一緒に戦っていた、ひとりの男の子が聞いてきました。「俺以外の人とも組んでる?」
このゲームは、オンライン上でチームを組んで戦うことができます。そのため団結力が強くなる。それがゲームのいいところだし、面白いところでもあるのですが、相手にだんだん異変がおきてきました。
「俺以外の男と組んでる?組まないでほしい」
それでも変わらず接していると「好きになった」と言われる始末。最後には「会いたい」とまで。
もちろん実際は母であり、20歳ではないのでAさんは絶対に会いませんでしたが、相手が自分にのめりこんでいくのがわかりました。日が経つにつれ、向こうから「LINE交換しようよ」「いつ会えるか」と頻繁に聞かれるようになりました。
男女がいれば、出会いがあるのは理解できますが「LINE交換しよう」と連絡してきたのはまだ中学生。相手は、20歳の女性と思っています。
実際にゲームを通じて成年女性と未成年男子が知り合い、わいせつ行為を行うという事件が発生したこともあります。他のプレイヤーをみても、会おうなど約束している人たちもいたそうですが、保護者の知らないところで、このような事件に発展する可能性がないとは言い切れません。
■明日学校は?何時まで起きているの?
元々夜更かしのAさん。子どもを寝かせて夜の時間を楽しむのが日課だったので23時、24時にゲームをすることもしばしば。しかし平日なのに、中高生が23時、24時にも沢山います。明日学校じゃないの?と不思議になるくらいに。
遅い時間でも子どもがこのゲームに参加している理由は、ゲーム内のチームは、中高生と大人が混ざっているから。大人は仕事終わりにゲームをするので開始時間がどうしても23時、24時になるのでしょう。大人が「じゃあ明日23時に集合」というと、みんながその時間に集まってくるのです。「昨日学校休んだ」という子どももいて、Aさんは驚いたようです。
■お金はどうしている?
ゲーム上で、課金をしてアイテムが買えますが、このアイテムはプレゼントもできます。Aさんは20歳と偽っているとはいえ、本当は40代。少しはお金に余裕もあるので、課金をして遊んでいました。するとなぜか「それいいですね」とか「すごい」とゲーム内の自分にファンがつき、最終的には中高生の子どもが課金をしてAさんにアイテムをプレゼントする始末。いったいこのお金はどこからでているんだろうと心配になるばかりだったそうです。
■出会い系サイトよりも、大人が子どもを騙しやすい場所
オンラインゲームは子どもと大人が入り混じっている空間。だからこそおもしろい場所であるのはわかります。しかし友達と公園で遊んだり、サッカーしたり、夜がくれば終わりになる外遊びとは違い、ゲームはいくらでもやり続けられてしまいます。
Aさんは、自分がこのゲームを体験したことで「これは子どもにはやらせたくない」と感じたといいます。
Aさんとゲームしていたときの声は明らかに子どもでしたが、なかには、Aさんが20歳と偽ったように、もしかしたら中高生と偽った大人の集団がいるかもしれない。そうと考えれば考えるほど、トラブルに発展しそうな要素はくさんあります。
■結局、ゲームは悪なの?
楽しいことは楽しいのだから頭ごなしに「ゲームをやってはいけない!」という親にはなりたくないという人は多いでしょう。
学生時代ゲームが大好きで今は社会人になった男性も「実社会に疲れたときは、気晴らしにゲームにログインし、仲間とダラダラと愚痴りながらゲームをしてストレス発散してる」と話していました。
実社会で居場所が作れない人の憩いの場やストレス発散の場として利用されるケースも多いですが、オンラインゲームがきっかけで、いじめや課金の問題、出会い系のトラブルが出てくるならそれは排除しないといけません。
悪い事ばかりではなく、楽しんでいる家庭では以下のような工夫をしていました。
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・チームは、家族でも組むようにし、ゲーム内でトラブルに遭遇した時に「そんな事気にしなくていいよ」や「今のはダメだよね」都度話し合っている。
・課金はしないというルールで始める。「課金して強くなるの当たり前だから 課金しないでどこまでいけるか楽しもう」と言ってる。課金しないことがカッコいいという事にしている。
・親も課金しないようにして、親子でそれを楽しむ。
・ゲーム中、言葉使いが悪くなったら 「ちょっとそれはダメ」という。友達とプレイしている場合も、ひどい言葉言い出したら「ダレソレ君、嫌な気分になってるんじゃない」という。
・ゲーム時間を決める。盛り上がっても夜中までさせない。休日だけと決める。 …などなど
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いつの時代も新しい娯楽は否定されるもの。Aさんの時代にはファミコンが批判されていました。オンラインゲームを否定したくないからこそ、どんなところがトラブルに成りうるのか、保護者がまずきちんと知り理解することが大切です。そしてどんなことがトラブルに発展するのかを子どもにきちんと説明できるようにしておく。子どもに、頭ごなしに「そのゲームしちゃだめ」と言わない親になるためには、これらのことをしていく必要があるのだと思います。
◆くま ゆうこ デジタルハラスメント対策専門家。株式会社マモル代表取締役社長。自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、 いじめや組織のハラスメントを未然に防ぐシステム「マモレポ」を開発する傍ら、学校コンサルティング、いじめ・ハラスメントのセミナー登壇、執筆を行う。