雨の中、大声で鳴いていた子猫 出会う直前に2度悲しい別れ「もう離れられない」
あずきちゃんは、母猫や兄弟とはぐれたのか育児放棄されたのか、たった1匹で、大声で鳴いていた。母猫を探していたのかもしれない。1日経ってもまだ鳴いていて、見かねた松本さんが保護した。
■雨の中鳴いていた子猫
2019年9月28日、熊本県に住む松本さんは、隣の空き地から猫の鳴き声がするのに気が付いた。翌日も子猫とは思えないほど大きな声で鳴き続けていた。様子を見ていたが、雨が降り出したので心配になって保護したという。
「同じくらいの大きさの子猫を連れて歩く猫を近所で見かけたので、母猫とはぐれたか育児放棄されたのかもしれないと思いました」
子猫は、まだよちよち歩き。元気がなく、歯が生えていたがキャットフードを食べなかったので、シリンジにミルクを入れて飲ませた。保護するとすぐに懐いてくれて、足に乗ってきて眠ったり、くっついて眠ったりしていたそうだ。名前はあずきちゃんにした。
3週間後、あずきちゃんはキャットフードを食べなくなり、のけぞるようにふらふら歩いた。動物病院で診てもらうと、栄養失調気味で猫風邪をひいていた。1日入院したら元気になった。松本さんは生後2、3週間だと思っていたが、獣医師は歯が生えているから生後1カ月くらいだと言った。
■もう手離せない
松本さんの住む地域は、もともと野良猫をよく見かけるところだった。それにしても、2019年は、親とはぐれた子猫をよく見かけたという。
5月には親猫が交通事故に遭った子猫が隣の空き地で鳴いていた。この子猫は保護して、職場の猫好きの同僚に引き取ってもらった。5日間くらい一緒にいたが、手離す時は寂しさを感じた。6月半ばには、まだへその緒がついた子猫を見かけ、母猫が戻ってこないかしばらく待っていたが、現れなかったので保護した。夜中だったので猫用ミルクを用意できず、ネットで調べて砂糖水を与えたが、その日のうちに亡くなってしまった。
「2匹の子猫との別れを経験し、あずきを前にした時、もう離れられないと思い飼うことにしました」
■ドライブや散歩が大好き、車中泊して旅行も
あずきちゃんは保護当時、お腹がふくれていて、猫風邪もひいていた。松本さんは、顔も可愛いとは思えず、「どうせ飼うなら可愛い子がよかった」と思ったが、離れられなかった。
しかし、いまは美猫に成長。子猫のあずきちゃんだけを家に置いて外出することができず、車に乗せて一緒にドライブした。車中泊をして旅することもある。いつしかあずきちゃんはドライブが大好きな猫になった。ハーネスをつけて散歩にも行く。公園や広場に行って走り、木登りもするそうだ。あずきちゃんは人も大好きで、散歩中に急に走り出したと思ったら、知らない人にスリスリすることもある。松本さんは、これからもあずきちゃんとあちらこちら旅行に行くことを楽しみにしている。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)