「ウチは飼えない」たらい回しにされた子猫 “大家族”のもとでイケメン猫に成長
猫を保護して飼っている児玉さん。8匹の猫を飼っていて、これ以上受け入れるのは無理だと思っていたが、近所に捨てられた子猫が現れた。気になっていたが、子猫を飼いたいという子供が家に持ち帰っては、親に「飼えない」と言われ、公園に戻された。ある日、児玉さんのところに長女の同級生が現れ、「飼ってくれませんか」と言われた。
■捨て猫の子猫、たらい回しにされる
2015年10月、大阪府に住む児玉さんは、小学生の長女から「捨て猫がいる」という話を聞いた。
「誰々の家に連れて行ったらしいけど、お母さんに『飼えない』と言われたから別の子の家の前に置かれたとか、公園で一緒に滑り台を滑り降りたとか、あちらこちら連れまわされているようで気になりました。いまどこにおるの?と話していたんです」
子どもたちは猫が好きなので連れて帰るが、そのたびに親から「飼えない」と言われて公園に戻されているようだった。ある朝、インターフォンが鳴ったので出てみると、長女の友達のAちゃんが立っていた。
「じつは、いまうちに猫がいる。うちは家の事情で飼えないので飼ってくれませんか」と言う。児玉さんが保護した猫をたくさん飼っていることを近所の人は知っていたので、児玉さんのところにやってきたのだ。携帯に入っている猫の写真を見せられ、「まじか!?写真でも実物でも見てしまったらだめだ」と思ったが、「それは無理やわ」とは言えず、「でも、うちもいっぱい猫がいるから、他に飼ってくれる人はいない?」と聞くと、「Bさんなら…」と言うので、「じゃあ1回、Bさんに聞いてみて。それでもだめだったら連れてきて」と言った。
■いつでも会いに来て
それから30分も経たないうちに、今度は母親と一緒に子猫を連れたAちゃんが来た。Aさんのところでは、犬を飼っているから飼えないと言われたそうだ。母親によると、公園で子供と子猫が一緒に遊んでいるのを見て、かわいそうだからいったん連れ帰ったのだという。その夜、子猫は、Aちゃんのお姉ちゃんの首元で寝た。しかし、どうしても家庭の事情で飼うことができなかったそうだ。母親の横にいた子供は涙ぐんでいた。
児玉さんは覚悟を決めて、「うちの子にするから、あとはまかせてください」と言った。「ずっと気になって仕方がなかったんです。もし断ったら、この先ずっと気になる。考えるよりも引き受けたほうが楽だと思いました」涙ぐむお姉ちゃんに児玉さんは、「うちの子にして大事にするから、いつでも会いに来て」と言った。児玉さんは、譲渡すると会いに来られなくなるが、うちなら会えるとも思った。
■やんちゃだが甘えん坊
10月10日、児玉さんのところに子猫が来た。名前はころ太くんにした。
ころ太くんを迎えて、飼い猫は9匹となった。本当のことを言えば、もう受け入れるのは限界だと思っていた。一方、かつて11匹に飼ったことがあるので、「いける」という自信もあったという。
「友猫もいたほうがいいから、猫を飼うなら1匹より多頭のほうがいいと思います。でも、理想は3匹くらいまで。1匹1匹に時間も愛情もかけられるので」
生後1カ月くらい。離乳してから捨てられたのか分からなかったので、子猫用ミルクを与えたが、じきにキャットフードも食べられるようになった。ずっと気になっていたが、なんとか離乳していた。
元気に育ったころ太くん。チャレンジャーで暇さえあれば遊びたい。一緒に暮らすミーちゃんを獲物のように狙う時、身を低くしてお尻を振る。すぐに狙っていると分かるので、児玉さんが「あかんで!」と怒ると、「やばい!」とあきらめるそうだ。
「過剰に反応する子ほど面白いようでちょっかいを出します。男の子のテンちゃんが、『お前やめとけや、いらんことすんな』とけん制することもあります」
甘えん坊で寂しがり屋の一面もあり、猫だけで留守番している時、人が帰ってくると大慌てで迎えにきてくれるそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)