助けて!動くだけで骨が折れてしまう…難病「骨形成不全症」疑いの子猫 獣医「猫では前例のない病気」
少し動くだけで骨が折れてしまうという原因不明の病を抱える保護猫のチャッピーくん。生後4カ月ほどの茶トラの男の子です。いくつかの動物病院を経た後に受診した大学病院で「難病といわれる骨形成不全症(こつけいせいふぜんしょう)の可能性が高い」と告げられました。飼い主の『ならまる(@NyanNekoneko2)』さんによると、担当の獣医師からは「これまで猫では前例がない病気」と説明を受け、今は検査結果を待っているといいます。
保護された当初は数カ所以上の骨折やまひなどの重傷を負っていたというチャッピーくん。一時は両ひじの骨をつなげる手術をして徐々に回復していました。しかし、治ってもまた別のところを骨折してしまい、日々ケガが増えるばかり・・・今は自力で立つこともできず寝たきりに。「いつまた骨折するか」とチャッピーくんから目が離せないという『ならまる』さんは「チャッピーは一生懸命生きようとしています。似たような症状の猫ちゃんをご存知の方などがいらっしゃったら教えていただきたい」と情報を広く呼び掛けています。
■骨折やまひなど重傷の子猫を保護、虐待か事故か?
チャッピーくんが保護されたのは、今年6月下旬。まだ生後2カ月ほどの子猫でした。一度は誰かに保護されたもののまた元の場所に戻されていたそうですが、『ならまる』さんの知人男性に無事保護されました。ただ、知人男性がペットを飼えない事情があったため、連絡を受けた『ならまる』さんが引き取ることになったのです。
当時のチャッピーくんは大きなケガをしていました。知人男性が保護した際に連れて行った病院で「左前足がまひ、左後ろ足の太ももの骨折などの重傷」と診断。獣医師からは「交通事故あるいは高い所から落ちたか、また虐待の可能性がある」と言われたそうです。
『ならまる』さんが引き取る際には、ケージの隙間から逃げようとしたり、ケガをかばいながら必死にほふく前進をしたりするチャッピーくん。その様子を見た『ならまる』さんは「痛そうで辛そうで怖がっている様子は今でも忘れられません。ノミやダニも大量に付いていました。こんな状態で捨てられるなんてひどい・・・と思いました。ご飯も食べられなかっただろうし、雨もずっと降っていたのできっと怖かったことでしょう」と振り返ります。名前の由来については「そんな辛い痛い思いをした茶トラの子猫ちゃんがハッピーになってほしいという思いを込めて『チャ(茶)ッピー』と名付けました」。
保護されて1週間ほど経ち、チャッピーくんの骨折の原因などがはっきりしなかったこともあって、別の病院を受診。レントゲン検査の結果、驚くような診断を受けたといいます。それは、両ひじの骨がつながってない。背骨3カ所・骨盤2カ所の骨折。左後ろ足とあばら2本は骨折の痕・・・過去のケガの痕も含めたくさんの骨折が見つかったのです。獣医師からは「2階以上の高い所から落ちたくらいのかなりひどい状態」と告げられたとのこと。ただ、「両ひじの骨は手術で治る可能性が高い」と言われ、紹介された病院で手術を受けました。
■両ひじの骨の手術は成功、退院後の経過で骨にヒビが・・・
7月中旬、両ひじの手術を受けて無事に成功。退院直後、少し元気のないチャッピーくんの様子に手術をした獣医師が「他に何か問題があるのかもしれない」と話していたといいます。手術後の経過を見るため、チャッピーくんは手術を勧めてくれた病院に通いました。8月初旬、レントゲン検査でヒビが入っている箇所がいくつか見つかりましたが、そんな心配をよそにチャッピーくんは元気に歩けるようになるまで回復していきました。
さらに、退院をしてから1カ月ほど経った8月中旬、再度病院を受診。このときは、手術した箇所や骨折なども改善に向かっていたといいます。チャッピーくんの回復力に「きっと、このまま良くなってくれる」と喜んだという、『ならまる』さん。
■再び骨折「こんな症状の猫を診たことがない」、大学病院へ
しかし、喜びもつかの間・・・数日後、チャッピーくんの様子がおかしいことに気付きました。時折、歩き方がふらつくように。ただ、普通に歩くこともあったため、しばらく様子を見ていたところ、悲劇が起こりました。チャッピーくんは、トイレで横転して再び腕や足などを骨折したのです。病院での血液検査ではカルシウム値に異常もなく、「転んだだけでこんなに骨折が増えるわけがない。こんな症状の猫は診たことがない」と獣医師。そこで、何かの病気ではないかと疑われたそうです。
チャッピーくんを助けたいという一心に『ならまる』さんは、9月に入り別の病院を受診。そこでも「こんな症状の猫は診たことがない」と告げられました。ただ、「大学病院だと普通の病院ではできない検査を行ってくれるので何か方法は見つかるかもしれない」と後押しされ、大学病院で検査を受けることに。そこで初めて、難病の一つ「骨形成不全症」の可能性が高いと言われたのです。
骨形成不全症というのは骨がもろく弱いことから、骨折しやすくなり、骨の変形をきたす先天性の病気。確立した治療法がなく、人間でも推定6000人ほどの患者がいるといわれています。『なるまる』さんによると、これまで人間の骨形成不全症が疑わしい病状の猫が過去にもいたようですが、猫で骨形成不全症と断定する検査を受けた症例がないとのこと。その検査をチャッピーくんは受け、結果を待っているそうです。
今、チャッピーくんは立つこともできなくなり、寝たきりになってしまいました。トイレも、ご飯やお水を飲むときも寝たままの状態でスプーンやスポイトで少しずつ口に入れてもらっているとのこと。チャッピーくんの様子について「他の猫が歩いている姿を見るととてもうらやましそうに見ています。動けない状態ではありますが、食欲もあってとても元気なんですよ」と『ならまる』さん。さらに、「保護時から立つことはできなかったのですが、ひじの手術をして一時期歩けるようにまでなりました。そのときの姿がとてもキラキラしていて、チャッピーも歩けることをとても喜んでいたのでまた歩けるようになってほしいです」と話します。
◇ ◇
お母さまと交替でチャッピーくんを見守り目を離さないようにしているという『ならまる』さん。いちるの望みをかけた“思い”をこう語ってくれました。
「これまで同じような症状の子が自分のところにもいるという情報もございましたし、昔いた猫ちゃんでそっくりな子がいたという方もいらっしゃいました。ただ、仮にチャッピーが骨形成不全症だとしても、人間やワンちゃんには改善策があっても猫の場合、はっきりとした症例もなく良い治療法もないようです。なので、まだまだ情報をいただきたいです。今後、チャッピーの有効な治療法が見つかり、同じような病気を持った全ての猫ちゃんたちも幸せに生きられるようになることが私たちの願いです」
チャッピーくんのような猫の病状に関する情報がございましたら、『ならまる』さんのTwitterまでご連絡をお願いします。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)