交通事故に遭って道路でうずくまっていた子猫…体を張って車を停めてくれた人のもとで幸せに
小鉄くんは、車にはねられて道路にうずくまっていた。たまたま通りかかった森田さんが子猫に気づいて助けようとしたが、後から来た車は非情にも子猫の真上を通り過ぎていった。森田さんは、手をあげ、身を乗り出して行きかう車を停めた。
■道路でうずくまっていた血まみれの子猫
2015年9月24日、新潟県に住む森田さんは、仕事が休みだったので朝一番から映画を見に行こうと思い車を走らせていた。家を出て15分くらい走ったところで、道路の真ん中に子猫がいるのをみつけた。オスワリしたままうずくまっているように見えた。
「あっ!と思いよけて通ったのですが、すれ違いざま、血だらけだったことに気づいたんです。バックして駐車し、トランクに積んでいたひざかけやタオルを取り出しました」
森田さんが子猫を助けようと思っても、子猫の上を通過する車もあった。ひかれたらかわいそうなので、森田さんは手をあげ、「停まってください!」と大声で言い、立ちふさがるようにして車を停めた。子猫をタオルでくるんで道路の端に移動すると、左頬が腫れていて、顔は血だらけだった。おそらく車にはねられたのだろう。
■無事、回復
その日、かかりつけの動物病院は休診日だったので、近くの動物病院に行って診察してもらった。生後2カ月くらい。獣医師に「この子は飼い猫?」と聞かれ、「いま拾った」と言うと、「治療をして、また元いた場所に戻すのだったら、治療できない」と言われ、決断を迫られた。
森田さんは、「なんとかします。うちで飼うなり里親を探すなり」と言い、子猫を診てもらった。「出血は止まっているが、頭を打っているかもしれないので、くるくる回るとかぐったりして動かないようであれば、また来てください」と言われた。
森田さんは猫を3匹飼っていたので、1匹だけでくつろげる部屋を用意できなかった。ひとまずダンボールでベッドを作り、猫用ミルクやごはんを買いに行った。鼻血がこびりついていたのできれいにして、シリンジで猫用ミルクを少しずつ飲ませたという。4、5日経ち、大きな鼻血の塊が取れると、子猫はすっきりしたのかレトルトのごはんを食べた。
左ほほは腫れたままだったが、普通にまっすぐ歩くことができた。森田さんは、子猫を風除室に入れ、様子を見守った。もしかしたら飼い猫が脱走したのかもしれないと思い、猫を拾ったところの近隣の人に「いなくなった猫はいませんか」と尋ねたが、飼い主はいなかった。
■「俺は男だ!」と勢い込んでみるものの
譲渡することも考え、譲渡サイトに掲載してみたが、一週間経っても誰も応募してこなかった。
「事故に遭った子だし、譲渡するのも心配。3匹も4匹も変わりない。うちで飼おうかなと思い、家族に『この子、うちに置く』と言ったら、『あ、そうなると思っていたよ』と。みんな分かっていたのですね」
名前は小鉄くんにした。
小鉄くんの状態が落ち着いてきたので、健康診断をしてもらって、先住猫たちに会わせた。先住猫はみんな女の子。たまに小鉄くんが「俺は男だ!」と他の猫の首根っこをかんでみるが、結局上に乗られてしまうのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)