山口達也容疑者への警察対応と報道は行き過ぎ…「アルコール依存症」への理解を 水谷修氏の訴え
アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー・山口達也容疑者(48)が22日に道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで警視庁に逮捕され、一夜明けた23日も引き続き、テレビをはじめとしたメディアで大きく報じられている。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は本人について「アルコール依存症」であると指摘した上で、逮捕した警察側や「一般人」となっている同容疑者に対する過剰な報道に異議を唱えた。
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22日午後、テレビから緊急放送のテロップが流れ、元TOKIOの山口氏が酒気帯びでバイクを運転し、自動車に追突して逮捕されたというニュースが報道されました。その後、午後や夕方のワイドショー、報道番組で、繰り返し報道されています。このことに私はいくつか違和感を抱きました。
まず1点は、山口氏は、現在タレントではありません。一般人です。確かにかつては有名なタレントでしたが。その一般人が、このようなかたちで逮捕されたことを、緊急放送で流すことが、報道としてあるべき姿なのかという点です。これは、やり過ぎであり、行き過ぎだと私は考えます。
2点目は、特にワイドショーで、何人かのコメンテーターが、かつての事件を持ち出して、まだ懲りていない。反省していないと、彼や彼の人格を攻撃していることです。まず、間違いなく、彼は、「アルコール依存症」でしょう。
「アルコール依存症」は、間違いなく病気です。本人の反省や意思の力で乗り越えることができる人はまれで、きちんとした専門機関で治療を受ける必要があります。また、自助グループ等の手助けも必要です。しかも、彼は、精神的な病気の治療を受けていたという情報もあります。精神的な病気を持つ人に対しては、報道には一定の自主的規制があるはずです。
今回このような事件が起きた背景には、彼はもちろん、周りの人たちが、「アルコール依存症」が治療の必要な病気であるという認識に欠け、意志が弱いからとか、だらしないからと考えたことがあると考えます。
3点目は、警察が彼を逮捕したことです。彼は、「当て逃げ」をしたわけでもなく、警察に対して反抗もしなかったようです。その彼を、逮捕し身柄を留置所に拘束する必要があったのか。また、その逮捕を、通常の定例の警察発表ではなく、即座に報道に伝える必要があったのかということです。私は、これも行き過ぎだと考えます。
テレビの報道が、彼を袋だたきにしている姿や、警察が、まさに見せしめにしようとしているかの対応に、私は、恐怖を感じます。
人はだれでも、間違いを犯します。罪を犯すこともある。しかし、それを反省し償いをすれば、またやり直すことができる。それが、社会の本来の在り方だと考えます。ましてや、心の病を抱える人に対しては。「罪を憎んで、人を憎まず」こんな当たり前のことが忘れられています。
警察には、早期の釈放と在宅起訴を。各メディアには、節度と心ある報道を求めます。