ひとり住まいで何年も悩み、猫と暮らす夢を実現 譲渡会で出会った運命の茶白の猫
東京都に住む宮川さんは、猫と暮らしたいと思ったが、すぐには踏み切れなかった。夢を実現するためにペットを飼えるマンションに引っ越したが、それでもまだ考えていた。いざ飼おうと思っても、譲渡のハードルが高く、断られることもあった。
■いつか猫を飼いたい
ふにゃくんは多頭飼育崩壊の現場からレスキューされた子猫だった。譲渡会で東京都に住む宮川さんと出会った。
宮川さんは実家で、お父さんの知り合いのところで生まれた猫を飼っていた。真っ白な猫だった。いつか自分でも猫を飼いたいと思っていたが、スペースの確保など、猫が快適に暮らせる生活環境が整っていなかったので躊躇していた。
■譲渡を断られる
2015年春、「猫と遊べたらいいな」と思い、お茶の水にある猫カフェに行くようになった。やっぱり猫を飼いたいと思い、6月、ペットを飼えるマンションに引っ越したが、この時はまだ悩んでいた。しかし、やはり猫を飼いたいと思い、行きつけの猫カフェで声をかけたが、留守番の時間が長すぎると断られたという。
保護団体にもよるが、譲渡した猫が再び捨てられたり、虐待されたりすることがないよう、独身者はだめ、幼い子どもがいる人はだめ、2匹以上同時に飼ってくれる人でないとだめなど譲渡条件を厳しく設定しているところが多い。宮川さんの場合、独身で留守番の時間が長いことがネックになった。
■ふにゃくんとの出会い
宮川さんは、動物病院が里親を募集している張り紙などもこまめにチェックしたが、2017年10月、Smile Catというシェルターで譲渡会があることを知った。
譲渡会は、いろんなボランティアが保護している猫を持ち寄って行われていた。1匹だけずっと鳴いている猫がいた。
「ひと目見た時、それまで実家の猫が真っ白だから白猫がいいとか子猫がいいと思っていたのですが、理想がふっとびました」
宮川さんは、ふにゃくんを譲渡会に出していたボランティアに仕事で留守にする時間があることを言ったが、ボランティアは承諾してくれた。
ふにゃくんは、生後7カ月の男の子、白猫でも子猫でもなかったが、他の猫は目に入らなかった。
■保護猫を迎えて思ったこと
10月24日、ボランティアが家に連れてきてくれた。ボランティアが帰るとふにゃくんはソファの下に隠れてしまい出てこなくなったが、翌日には自由に部屋の中を探検した。
「噛まないし、引っ掻くこともないし、トイレもできて、すごくいい子でした」
お風呂が大嫌いで断末魔の叫び声をあげる。名前を呼んだり話しかけたりすると「ニャア」と返事をしてくれるという。宮川さんは、ふにゃくんを飼って以来、できるだけ一緒にいたいので旅行にも行かなくなったそうだ。
宮川さんは、ペットショップから猫を迎えることを否定するわけではない。しかし、
「保護猫の里親になると、トイレなど基本的なしつけが既にされています。ふにゃの場合、多頭飼育出身だったので、猫とじゃれ合って育ちました。そのため、噛まれると痛いということや力加減を知っていて、人間を噛んだり引っ掻いたりすることが少ないのだと思います」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)