がんばる大人に勧めたい、心に栄養をくれる“ねこの絵本”5選!笑って泣いて癒されて…ねこが教えてくれること
自由気ままでマイペース、なのにときに甘えん坊…、そんな、ねこが主役の絵本には、個性的で心が惹きつけられる作品がたくさんあります。
そもそも絵本は、厳選されたテキストと絵によって、自由に想像・発想を広げられる懐の深さが魅力。絵本の中のねこたちも、のびのびと躍動しながら読み手の感性を刺激します。
そんな、ねこがモチーフの絵本の中から、大人にもおすすめできる5冊を紹介します。
選んでくれたのは、絵本の試し読みができる参加型の絵本情報サイト「絵本ナビ」の磯崎園子編集長。10万冊以上の絵本を扱う編集長の目で選び抜かれた5冊は、愛・ユーモア・癒しなど、さまざまな魅力が詰まったものばかりです。「ずっと手元に置いておきたくなる」、そんな1冊が見つかるかもしれませんよ。
▽ねこの表情がたまらない!『ねこはるすばん』
人間の知らない「ねこの世界」が覗ける絵本。留守番中のねこの日常を、エッジの効いたストーリーでコミカルに描きます。床屋さんで、本屋さんで、映画館で…、人間のように振舞いながらも、「やっぱりねこでしかない」姿に思わずニヤリ。ねこ好きなら「そうそう!」「わかる!」とうれしくなってしまうような姿や表情が、圧倒的な画力と細やかな描写で表現されています。
▽くすっと笑って癒される『11ひきのねことあほうどり』
「とらねこ大将」率いる11匹のねこたちの愉快な冒険物語。1967年に第1作目「11ひきのねこ」が発表され、その後3世代50年に渡って楽しまれている大人気シリーズの2作目です。自由気ままでちょっぴり欲張り、だけど疑うことを知らない純粋な心も持つねこたちが起こす騒動は、いつでも愛嬌たっぷり。同作では、コロッケをエサに悪だくみを思いついたねこたちが、「やっぱりね」と思わず笑ってしまう珍事件を引き起こします。皮肉が効いているのに、読後はなんだか癒されてしまう絵本。子どもへの読み聞かせにもおすすめです。
▽大人にこそ読んでほしい骨太な1冊『100万回生きたねこ』
1977年発売のロングセラー。愛と死をテーマにした骨太なストーリーと、誰にも媚びないねこの表情が心から離れない名作です。
100万回死んで、100万回生き返り、100万人の飼い主に愛され、死ぬことなんて平気だったねこ。誰よりも自分が好きだったねこの生きざまを通して、生と死、そして愛について考えさせられる作品です。この物語の解釈は人それぞれですが、どんな想像も受け止めてくれる絵の力も圧巻。「子どもの頃に読んだ」という人も多いであろう名作ですが、深いテーマだけに、様々な経験を積んだ大人にこそもう一度読んでほしい絵本です。
▽愛されねこが大集合!『わたしねこがかいたいの』
ねこを飼いたくてたまらない女の子が、自分のねこと出会うまでのストーリー。“家族”としてのねこと一緒に暮らせる喜びが詰まった作品です。作中には、飼い主に愛されているねこがたくさん登場するのですが、「よくぞここまで!」と唸るほど、色も柄も違うねこたちが大集合。かわいいねこであふれたページは、見ているだけで幸せな気持ちになれます。ねこの体温が伝わってくるような、ぬくもりのある絵も魅力。ねこを飼っている人なら、そばにいるねこに「ずっと一緒にいてね」と声をかけたくなるかもしれません。
▽命の愛おしさと向き合う『ねこなんていなきゃよかった』
飼っていたねこが天国に行った悲しみに向き合えず、気持ちに蓋をして「ねこなんていなきゃよかった」と言ってしまう女の子。そんな彼女が「ねこがいてくれてよかった」と思えるまでの繊細な心の動きを描いています。女の子の深い悲しみは、深い愛があったからこそのもの。悲しみを受け止め、乗り越えてこそ理解できる、命の愛おしさやあたたかさが伝わってくる絵本です。
「絵本の世界にも、とにかく個性的で魅力あふれるねこたちがたくさんいます。とにかく愛でる目的でも、自分に重ね合わせてみるのも、読み方は自由。自分に合うお気に入りの1冊を“探し出す”、そんな楽しみも含めてねこの絵本を味わってもらえたら、と思います」(磯崎編集長)
(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)