「ママがいいー!」と泣かれても…諦めない! 人気男性ベビーシッターに聞く、パパの「育児参加のコツ」
子育てに無関心とまではいかずとも、および腰のパパは多いですよね。子どもの機嫌がいいときはよくても、泣き出すとすぐにママを頼ってしまい、結局ママの負担は減らない…。育児は夫婦でするもの。もっとパパに育児参加してもらうにはコツが必要です。そこで、今回は人気男性ベビーシッターに極意を聞いてみました。お話をうかがったのはフリーでベビーシッターをされている松永たかひろさんです。
■パパにしかできないこともある
子育てはママにしかできないこともあれば、パパにしかできないこともあります。
仕事で忙しくてあまり子どもに会えないと、いざ子どもと二人っきりになった時に己の無力さを思い知らされて落ち込んでしまうパパもいるのでは?
そんな時に、ママが「ダメじゃない!」と追い打ちをかけては、ますますパパは子育てから離れてしまいます。
ベビーシッター松永さんには何人かの固定利用者がついているそうです。利用者がわざわざ男性ベビーシッターを依頼するのはどんな場合なのか聞いてみました。
「僕が選ばれた理由としては、そもそも子どもが男の人の方がなじむというものから、外で遊んでほしい、体を動かした遊びをしてほしいといったものまでいろいろあるようです。8割くらいは男の子が多いですね」
と松永さん。松永さんに依頼してくる家庭には、単身赴任でパパが不在だったり、そもそもシングルで子どもを育てている場合も多いそうです。
どんなにおとなしい男の子でも女の子と比べたら、活動量は多いもの。日中たくさん体を動かすことは、子どもの発育にも、よい睡眠にもつながります。ですが、まともに子どもの遊びにつきあうことはかなりの体力を要します。下の子がいたり、年齢が高めのママだったりすると、遊んであげたくても無理な時もありますよね。パパに子どもを預ける時は、思いっきり体を動かして遊べるところを選んでお願いしましょう。
運動が得意なパパなら、力の見せ所と張り切ってくれるはず。逆に運動が得意でないパパなら「自分自身のメタボ対策にもなるよ」などと誘導してもいいですね。松永さんは水泳が得意で、子ども向けの水泳指導もベビーシッターと並行して行っているそうです。子どもが嫌がらないかぎり、自分の得意なフィールドで子どもと接してもまったく問題はないでしょう。
■子どもが好きな「ハデな」遊びとは?
女性に力を使った遊びはできないというわけではありませんが、全部が全部、ママがやってしまうと、パパの出番がなくなるというもの。松永さんに聞いた子どもが好むアトラクション的な遊びを聞いてみました。
「やっぱりたかいたかいとか、飛行機といった、子どもを高く掲げるような体を使った遊びが子どもは好きですね。子どもの手を持って遠心力で回す遊び、肩の上に立たせる遊びなども人気です。こういうと語弊がありますが、ある程度危険度があればあるほど子どもは喜びますね。“ママに頼んでもやってくれないんだよ”と言われたこともあります」
あまり危険すぎるのはNGですが、安心で安全ばかりでは子どもは成長できません。危険な遊びを通じてからだのバランス感覚やリスクに対処する術を学んでいくのです。
■子どもと遊ぶのが苦手なパパへのアドバイス
子どもがどうしても苦手なパパもいると思います。ですが、ママでも出産するまでは子どもが苦手だったという人もいるのです。だからといって、ママは子育てをしないわけにはいきません。苦手なりに、目の前の子どもを通じて子どもに何が必要か、何をしたら喜ぶかを探って子育てをしているママがほとんどでしょう。
ですから、子どもが苦手なパパにもせめて自分の子どもくらいは見てもらえるようにしたいところ。男性の中には事前リサーチが好きな人もいるでしょう。パパがそのタイプなら「子どもの年齢に合わせて、どんな遊びが適切かなどを調べておくのもいいかもよ」とアドバイスしてもいいかも、と松永さん。また、子どもが好きなもの、キャラクターなどを教えてあげてもいいですね。
松永さんも、事前に利用者にお子さんの好みなどを聞いておくそうです。なにかしら、遊びのとっかかりになればいいのです。
松永さんはさらにこんなこともアドバイスしてくれました。
「子どもの提案してくる遊びが大人にはそんなにおもしろくないということもあると思います。なので、自分も楽しめるように工夫してルールを変えてもOKだと思います。自分も、未就学児だとトランプなどは枚数を減らしてあげたりしてハンデを持たせたりします」
■それでも「ママがいいー!」と泣かれたら
「ママがいいー!」子どものこのひと言ほど、パパを子育てから遠ざけるものはないのではないでしょうか。ベビーシッターであればなおさら、何度も子どもに泣かれてきたと思います。
「そういうときこそ話を聴く、受け止めてあげることが大切です。どうしたの? そっか、ママがいいんだ。でもママ今休んでいるから、〇〇くんも休む?などと声がけして、まずは落ち着かせることに全力を注ぎます。泣き止んできたら、そういえばこんなのあるんだよ、と新しい遊びを提案してみます。泣いているときはどうにもならないので、とにかく泣き止むのを待つことが必要です。だっこやスキンシップ、できることはなんでもします」
世のパパはそこまでがんばれず、ママにバトンタッチしてしまうのですよね。
「子どもはママじゃなくても気持ちを落ち着かせてくれる存在がいれば、安心して遊びに移行していけるんです。泣いているときこそ、コミュニケーションを取るチャンスです。そこを諦めてママに丸投げしてしまうと、子どもの方も心が離れちゃうんですね。そこを、とにかく泣き止ませることにフォーカスしてがんばる。おもちゃをあげたりするのは、泣いている時だと逆効果です。投げられたりすると、不要にイライラしていまいますからね。おもちゃをあげたり遊んだりするのは、泣き止んでからと覚えておいてください」
子育てはパパママ2人でするのが基本。だからといって、2人でまったく同じことをする必要はありませんし、そもそもそんなことは無理な話。
まず、パパにしかできない子育てがあると知ってもらうこと。そして、ママは任せたら任せきることも大事ですね。
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▽松永たかひろ
1996年8月20日生まれ。2018年7月からキッズラインにて、ベビーシッター・水泳指導者として活動を開始。現在は、フリーで活動中。
(まいどなニュース/BRAVA編集部)