定期的に「入れ歯チェック」を受けていますか-入れ歯が合わなくなる前にぜひ受診を
今年の敬老の日はシルバーウィークの最中にありましたね。久しぶりにご家族でおいしいものを召し上がった方もいらっしゃるでしょう。入れ歯をお使いの方は、問題なく食事を楽しめましたか。
入れ歯は患者さん自身の口や顎の状態などに合わせて設計し、製作します。年を取ったり、歯を失ったりすることでかみ合わせ、顎の状態や動き、唾液の量などは変わりますが、入れ歯は基本的にこれらの変化に応じて形や性状が変わるものではありません。そのため、次第に入れ歯が口の中や顎の動きと合わなくなり、場合によって動いたり落ちたりするようになります。
入れ歯を毎日使っていると、徐々に人工の歯がすり減ってきます。特に部分入れ歯の場合、ご自身の歯と人工の歯が当たると、人工の歯の方が軟らかいためすり減りが著しくなります。歯がすり減ると入れ歯を作った時に整えたかみ合わせが変わるため、顎に痛みが出る方もいらっしゃいます。
入れ歯についているバネが使っているうちに変形して折れたり、入れ歯に余計な力がかかって入れ歯自身が割れたりすることがあります。粘膜などを傷つける恐れもあるため修理が必要ですが、ご自身で瞬間接着剤などを用いてつけるようなことはしないでください。接着剤が口の中でどのような状態になるかわからない上に、もともとの形から変わってしまいかねません。
せっかくご自分だけの入れ歯を作られたのですから、使いづらくなる前に定期的にチェックを受けましょう。入れ歯の設計や製作には歯科医師や歯科技工士の考えや技術が関わっているため、かかりつけ歯科医師など、その入れ歯の設計を担当した歯科医師に依頼するのが望ましいです。
寝ている時も入れ歯をつけているという方が時々いらっしゃいますが、毎日寝る前に必ず外して洗いましょう。入れ歯用のブラシを使い、汚れを落とします。普段使う歯磨き粉の使用はお勧めできません。歯磨き粉に含まれる研磨剤によって入れ歯に細かい傷がつき、さらに汚れや雑菌がつきやすくなるからです。入れ歯の裏側も洗い、洗浄液に浸けて保管します。この時熱いお湯で洗うと変形する恐れがあるため、ぬるま湯を使いましょう。
◆中塚 美智子 大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士。