レジ袋の有料化……生理用品は隠すもの? ユニ・チャームに聞いてみた

 レジ袋の有料化に伴い、こんな声が挙がっている。「生理用品をそのまま渡されて、恥ずかしい」。従来なら、当たり前のように商品が見えないよう色付き袋を2枚重ねたり、紙袋に入れたりするなどの配慮が施されてきた生理用品。レジ袋の有無を聞かない店では、「そのまま」渡されることもしばしばあるもの。しかし、「購入時に紙袋で包む必要性を感じさせない」デザインの生理用品があればどうだろう。

 これらのパッケージは、「#NoBagForMe」というプロジェクトで開発された。活動を実施しているのは、生理用品大手のユニ・チャーム。これらのパッケージは、プロジェクトメンバーによる厳選と、SNSや街頭での人気投票によって決定された。2019年12月に限定発売された後は問い合わせが相次ぎ、多くの反響を呼んだ。

 プロジェクト名を日本語にすると「私は(生理用品を隠す)袋はいりません」。しかし決して「袋をなくそう」という運動ではなく、「多様な生理ケアや、自分自身のカラダや生理について気がねなく話すという選択肢をもつことができ、自分らしく過ごせる社会」を目指すもの。

 商品パッケージの開発や情報発信を通じて、そもそもの「生理の恥ずかしさ」に焦点をあて、生理の価値観をアップデートしようとしている。

 同社の広報担当・芳賀麻里奈さんにプロジェクトの意図を聞くと、「 “生理は恥ずかしく、隠すべきもの”という世の中の価値観の象徴が『袋』だと思います」と答える。

「生理用品を隠したい人が多い要因の1つは、パッケージデザインにあります。『何センチ』『夜用』といった情報や実物のイラスト。デザインとしては分かりやすいですが、『いかにも生理用品』といった見た目に抵抗を感じる人も。そこでパッケージデザインを変えることがそのような抵抗を軽減する一助になると考えました」

 そして「生理は恥ずかしい」という価値観について、「例えば、初経教育は男女別であることが多く、小学生から『生理の話をしにくい』というような空気が作られることにも要因があると思います」と話す。

 生理は、体に生じるごく自然な現象。「例えばメイク用品の話だと積極的に情報交換しているのに、生理用品ではそれが少ない」と芳賀さん。

「正しい知識を共有することで、同性・異性間問わずより良いコミュニケーションができる。そして多くの方が自分らしいライフスタイルを選択できるのではないでしょうか」

 「生理について話しなさい」「袋は拒否しなさい」と押し付けるものではないし、「恥ずかしい」と思うことも決して間違いではない。「生理が原因で悩んでいる女性の背中を押すもの」であることがポイントだ。

 2020年のプロジェクトメンバーには、お笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービー、アイドルの和田彩花、人気YouTuberの古川優香など男女10人が名を連ねる。

 バービーは「男性だから話してはいけない、という空気もあるが、女性が自分の状態を伝えたり、お互いが和やかに話したりできるようになれば」。和田彩花は「生理の知識や用品の情報を発信する中で、もっとたくさんの選択肢や価値観があることをお伝えしたい」と話す。

 会計時に「袋に入れてほしかった」とモヤモヤしたり、わざわざ「袋をお願いします」と言ったり、生理で体調が悪くなっても我慢したりするのが「当たり前」……。そんな価値観を変えていけば、今までよりも快適な毎日を送ることができるのではないだろうか。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)

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