普通のお猪口じゃないの?!最先端の金属3Dプリンターで「ゼロ」から生まれた逸品とは

 まるで竹細工のような緻密な構造、内部にも細やかに施されているデザイン、熱燗にも冷酒にもぴったりのステンレス製。伝統工芸品さながらのビジュアルが魅力的なこの商品は、酒器=「Syuki」だ。神戸のものづくり企業が「金属3Dプリンター」を使って製作している。          

 開発・製作は、「金属加工の駆け込み寺®」こと伊福精密株式会社(神戸市西区)。金属加工を主な仕事としている同社は、自動車や航空機、医療・鉄道の現場で使用される部品製造を行っている。

 「金属のことなら何でも」と謳う同社が強みとするのが、国内でも導入企業の少ない「金属3Dプリンター」による金属造形。3Dプリンターとは、簡単に言うと「ゼロから物を生み出す機械」。設計データを読み込み、それに従い粉末状の材料が均一に敷かれ、レーザーによる熱が加わり、形になる。他の加工技術・作業に比べてより細かいつくりが可能なことに加え、手間暇もかからず効率よく造形できる「魔法の機械」だ。

 とはいえ普段のものづくりの現場では、金属3Dプリンターは試作品の段階で用いられることが多く、商品の最終形態として世に出ることは少ない。「もっと魅力を知ってほしい」「金属3Dプリンターを身近に感じてほしい」。そんな思いから、同社はオリジナルブランド「OshO」を立ち上げた。その第1弾が「Syuki」だ。

 酒器を商品にしようと構想し、発売まで2年かかった。今まで経験してこなかったデザインなども手がける必要があり、苦心したという。専門のデザイナーや酒蔵からのアドバイスを受け、何パターンもの試作品を経て、こだわり抜かれた「Syuki」は完成した。

 同社では「Syuki」に続き、金属3Dプリンターによる商品を次々と展開している。パズルやコマから、マスクのインサイドホルダーまで。最新テクノロジーを用いた親しみやすい商品に、これからも期待したい。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)

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