「夢は世界平和!」赤字覚悟…それでも、イスラーム映画祭を毎年続ける理由

「イスラーム映画祭」という映画祭をご存知だろうか。2015年12月、東京で初めて開催され、翌年からは東京に加えて、名古屋、神戸で開催された。この映画祭はタイトルの通り、アフリカやエジプトといったイスラム地域の映画を紹介し、ラインナップは毎年映画ファンの間でも好評だ。

今年は新型コロナウィルスにより、上手くいかなかったことも多かったという。9月25日、無事に「イスラーム映画祭5」神戸篇を終えた藤本高之さん(映画祭主宰)に話を伺った。

この映画祭、デザイナーなどを除いてほぼ一人、藤本さんが運営しているから驚きだ。「コロナで心配しましたが、なんとか無事に」。気になるのは収入面だ。「5回目ということで仕掛けも大きくしましたよ。3~40万くらいの赤は気になりませんよ。でも予想よりも出費は倍でした」と笑って答える藤本さん。映画祭と初めて作った物販のムックは555冊完売したがそれでも…らしい。そんな藤本さんが掲げる目標は「世界平和」だという。

「映画祭は異文化理解、イスラム圏のために行なってます。映画祭と大きく言っていますが、普段知ることができないイスラム圏の人たちに寄り添った形で届けたいんです」。

■イスラム圏を知らない1人のために。100人のためにやらない

 映画祭といえばお金がかかる。協賛を増やしてみれば?と尋ねると「ない、絶対しない」と即答。「お金もらっちゃうと、くれた人のためにしないといけないでしょ。この映画祭は知っている人100人じゃなくて、イスラムのことを知らない1人に向けてやってるので」。そんな決意の固い藤本さん。色んな映画館から映画祭を開催してくれないかと問い合わせもあるそう。「東京と名古屋と神戸だけ。欲は出しません」。徹底している。

■基本的には同じサイズ、同じペースで映画祭は続ける

 「方向性は間違ってなかったと思いますね」という一方で映画祭を若い世代に引き継いで欲しいという願いはあるという。「今のところ飽きがこない。イスラム圏のことをもっと知りたいので」と締めくくった。

次回の映画祭は東京の渋谷ユーロスペースで2021年2月から始まり、神戸の元町映画館での開催はG.Wを予定している。日本人のほとんど誰も知らない中東のイエメンで国内の映画館で初めて上映された作品や。アフリカのスーダン共和国の作品を上映するらしい。期待値爆上がり。こんなに映画も映画館もイスラム圏のことも好きになる映画人は現れないだろう。

(神戸元町映画館広報・宮本 裕也)

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