犬の背中がボクの「特等席」…公園で迷子のセキセイインコを保護!種を超えて愛犬と相思相愛の関係に
セキセイインコの空(そら)君は同居する犬のウッディー君が大好き。ウッディー君の背中の上がお気に入りで、「ウッディー」と名前を呼んだり、ごはんのとき飼い主さんが言っているのを真似て「ウッディー、よし!」などと言うそうです。
空君は今から6年前、神戸市のある公園で保護されました。
「ウッディーの朝の散歩中に、いつも行く公園で木に止まっているのを見つけたんです。他の鳥とは明らかに色が違いました。お散歩仲間と『セキセイインコだね』って話したんですけど、そのときにはどうすることもできなくて…」
犬や猫を捕まえるのも簡単ではありませんが、鳥はもっと難しいはず。ウッディー君の飼い主である鳥崎弘子さんが何もできずにその場を離れたのも無理はありません。しかし、その日一緒に旅行に出掛けた近所の友人に話すと、「放っておいたら絶対に死んじゃう。保護しないと!」。その方はコザクラインコを飼っていて鳥のことに詳しかったそうです。
「すぐにご主人に電話して『捕獲しといて』って(笑)。そんなに簡単に?と思いましたけど、翌朝ご主人からメールが届いたんです。『捕獲しました』って。ご主人は野鳥の写真を撮ったりしていて、本当に鳥にお詳しいんですよ」(鳥崎さん)
発見者の近くに“鳥博士”がいたのは空君にとって幸運でした。博士は「多くの野鳥は早朝によくエサを食べる」という習性を利用するため、朝5時に起きて公園へ。空君は恐らく飼われていた鳥で野鳥ではありませんが、迷子になったのならお腹をすかせているだろうし、飼い鳥ならカゴやエサ箱に反応してくれるのではないか、という読みが当たりました。最初は警戒していましたが、しばらくすると近くの木の枝に移り、博士が差し出したエサ箱に乗って食べ始めたと言います。そして、落ち着いてきた頃にゆっくりとエサ箱ごとカゴへ…捕獲成功!です。
警察に届けましたが、そこでは面倒を見られないため鳥崎家で保護。規定の2週間を過ぎても飼い主は現れず、空君は正式に鳥崎家の一員になりました。
「子供の頃に飼ったことはありましたけど、親が世話していたので自分で面倒を見るのは初めて。オリーブちゃん(鳥博士の家のコザクラインコ)のお母さんにいろいろ教えてもらって、なんとか飼うことができました」(鳥崎さん)
空君が初めて家に来た日、ウッディー君は「思い切り避けていた」(鳥崎さん)そうです。ただ、決して攻撃することはなく、空君が近づいてくると、そ~っと離れて隣の部屋に移動したりしていたのだとか。ウッディー君の優しい性格が表れています。逆に空君はウッディー君のことが気になって仕方ない様子で、ごはんを食べるウッディー君の横に行って一緒に食べていたそう。そんな空君に根負けしたのか、ウッディー君も受け入れるようになり、今ではすっかり仲良しになりました。
「空」という名前は、保護した日の青空と羽毛の色に由来しています。とても素敵な名前ですが、鳥崎家に来て少したつと、「ピーちゃん」とか「ピーちゃん、どうしましょう」と言うように。元の飼い主さんが付けてくれた名前だったのでしょう。鳥崎さんは少し困惑しましたが、「どうしましょうって、こっちがどうしましょうよ」と笑いながら突っ込んで「空」に最終決定。空君自身も新しい名前が気に入ったようで、すぐに「そらくん」とおしゃべりするようになりました。
(まいどなニュース特約・岡部 充代)