骨が折れる病の保護猫 猫では前例のない病気と診断 難病「骨形成不全症」の症状と酷似だが・・・病名付かず
少し動くだけで骨が折れてしまうという原因不明の病を抱えた保護猫のチャッピーくん。10月初旬、大学病院での検査結果が判明しました。飼い主の『ならまる(@NyanNekoneko2)』さんによると、猫では前例のない病気と診断、担当の獣医師から「病名は付けられない」と告げられたのこと。そして、人間でいう難病の「骨形成不全症(こつけいせいふぜんしょう)」と症状が似ていると言われたそうです。
猫の中で骨形成不全症と断定された症例はこれまでもなく、基準値がないため、「骨形成不全症」と診断結果を出せないといいます。猫では前例のない病気だということで現時点で治療法がありません。今回改善策として獣医師から勧められたお薬があるものの、副作用もあり効果が出るとも限らず。飼い主の『ならまる』さんは「少しでも効果があればと服用も考えるのですが・・・副作用があると伺ったため、チャッピーに辛い思いまでさせて服用させることが気掛かりで迷っています」などと話し、今後のことに頭を悩ませています。
■基準値なく「骨形成不全症」の診断結果出せず、治療法なし
チャッピーくんは今年6月下旬、公園で保護された生後5カ月ほどの茶トラの男の子。保護された当初は数カ所以上の骨折やまひなどの重傷を負っていました。しかし、けがが改善してもまた別のところを骨折してしまうという原因不明の症状が続き、いくつもの動物病院を経たあと、9月に入り大学病院を受診。難病の一つ「骨形成不全症」の可能性が高いと獣医師から告げられました。
大学病院では、現在猫の骨関連の病気と登録されているものの中で、チャッピーくんに該当しそうな病気の検査を全て行ったところ、一つも当てはまる病名はなかったといいます。これまでに診断されたことのない病気ということが判明したのです。ただ、疑われていた難病「骨形成不全症」の症状に非常に酷似しているとのこと。
骨形成不全症というのは骨がもろく弱いことから、骨折しやすくなり、骨の変形をきたす先天性の病気。確立した治療法がなく、人間でも推定6000人ほどの患者がいるといわれています。『ならまる』さんによると、これまで人間の骨形成不全症が疑わしい病状の猫が過去にもいたようですが、今回も断定はできなかったといいます。
またチャッピーくんと同じような症状を持つ猫ちゃんの有力な情報もあったのですが、チャッピーくんとは違う原因で骨が折れやすくなっている症例だったそうです。
■寝たきりのまま・・・栄養剤を大好物と一緒に服用も
現在のチャッピーくんは寝たきりのままですが、おもちゃが大好きで手を動かして遊ぶなどやんちゃぶりは変わらないといいます。ただ、免疫力の低下のためか結膜炎が治らず、病院で処方された目薬を毎日さしているとのことです。
食事については「少しでも栄養をつけてもらおうと、市販のものの中でも特に栄養価の高いものを選んでいます」と『ならまる』さん。「あとは病院で処方していただいた栄養剤を毎晩大好きなキャットフードの『CIAO ちゅ~る』と混ぜて食べさせています。大量の栄養剤ではありますが、『CIAO ちゅ~る』に入れてあげると喜んで食べてくれるので助かっています」と話します。
■「応援プロジェクト」が立ち上がり、支援の“輪”広がる
そんな辛い病気を抱えるチャッピーくんを応援したいと、『ならまる』さんが保護活動を始めたときから協力を得ているという『らくさいキャット(@Rakusaionlycat)』さんたちが「チャッピー応援プロジェクト」を、立ち上げました。
プロジェクトでは、チャッピーくんが歩けるようになるための情報収集をはじめ、同じように病気や人間に捨てられて必死に生きている猫ちゃんたちがいるという事実を知ってもらうための広報活動や公園にいるチャッピーくんの母猫や兄妹猫ちゃんたちを保護することなどに取り組んでいるといいます。
うれしい支援の“輪”が広がっていることに、『ならまる』さんは「チャッピーのことを知ってもらおうと、メンバーの方々がチャッピーの応援Tシャツを作ってくださり、心から感謝しています。もちろん、目的はTシャツを見られた方がチャッピーを知ってこんな子がいるんだということを知ってもらったり、情報収集の可能性を広げたりするためです。またチャッピーとは違う骨が折れる病気を抱える猫ちゃんがいることも知り、そのような猫ちゃんのためにも情報が集まればと期待しています。1人でも多くの方に着ていただけたら幸いです」。
■「いつかチャッピーが歩けるように」飼い主の切なる思い
とはいうものの、チャッピーくんの具体的な治療が見つからず、思い悩む日々が続いているといいます。「検査結果で少しでも前に進めるかと期待していたのですが、確実に改善するという治療薬もなく、今後のことを考えあぐねています」と『ならまる』さん。
「チャッピーが歩けるようになってくれるのが一番の目標です。今後も同じような症状の猫ちゃんたちの情報や改善が見込めるような治療法などを求めていますので、ちょっとした情報でもお待ちしております」と訴えます。
チャッピーくんのような猫の病状に関する情報がありましたら、『ならまる』さんのTwitterまでご連絡をお願いします。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)