今年も関西ゆかりのブレーク寸前10劇団が集結!「関西演劇祭」 コロナ禍の中、大規模演劇祭を開催する意義とは
関西ゆかりの劇団を集めた演劇祭「関西演劇祭2020 お前ら、芝居たろか!」が、11月21日から29日(25、26日は休演)まで、大阪市のクールジャパン大阪TTホールで開催される。フェスティバル・ディレクターを務める板尾創路(57)と、審査員のひとりで映画監督の行定勲氏(52)が取材に応じ、コロナ禍の中で同演劇祭を開催する意義を強調した。
関西演劇祭は新しい才能の発掘や、劇団にクリエイターや観客との新たな出会いの場を提供する場として2019年にスタート。参加劇団は、6日間の期間中に3度公演を行う。公演後はティーチインと称して、審査員や観客と質疑応答を公開する異色の演劇祭だ。
昨年は漫才コンビ・令和喜多みな実のボケ担当で、18年旗揚げの劇団「コケコッコー」を主宰する野村尚平(32)が、審査員選定の「ベスト脚本賞」と「ベスト演出賞」を独占。今年10月にはクールジャパン大阪WWホールで、野村や昨年の同演劇祭に参加した劇団が協力した公演「コケコッコー企画 あっかんべー」も3日間上演。手腕を発揮しつつある。
ゼロからの手探りで演劇祭を作り上げ、手応えを感じていたという板尾。今年はもっとお祭り感を…と思っていたところに、演劇界をコロナと自粛の嵐が襲った。一度は延期に見舞われたが「こんな時だからこそ、舞台や演劇の見せ方を後押しすることに意味がある。今年も続けていかないといけない。見えてくるものもあるし、スターが出てくるかも」と年内開催にこぎつけた。吉本興業の劇場ガイドラインや、706席の席数を211席までに減らすなどの感染防止対策を徹底する。
無類の演劇好きで、映画監督ながら舞台演出も手がける行定監督。権威主義とは無縁で、観客が関西の劇団を応援していこうとする演劇祭の開催を英断と評価した。「今年はやめます…というのもできるけど、やることは素晴らしい。やったらやったで何かは残る。映画をスクリーンで見るという行為も、演劇祭というイベントもすごくフィジカル。リモートでもいいけど、すべて映像を通してになってしまう。個人にフィジカルとリモート、選択肢を与えることが重要」と力説。有観客の各公演は、オンラインでも配信される。
今年も、関西で公演実績がある10劇団が集結した。板尾は「いろんな出会いがあったり、グツグツした感じも出る。いろんな演劇や個性を楽しんだり若い人の存在を知ったり、意見を言い合ったり聞いていても楽しい。見に来ていただかないと、映像では伝わらない」と生での観劇を呼びかけた。
行定監督は「ブレーク作よりも、ブレーク前夜の作品にかなうものはない。衝撃作に出会うと、これを超えられない。最初に打ちのめされる…そういうものが見たい」と、爆発寸前の10劇団に期待を寄せる。演劇祭の実行委員長には、劇団☆新感線の羽野晶紀(52)が就任。晩秋の演劇祭を盛り上げていく。
(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)