「コロナ鎖国」でインバウンド消滅…あのバブルから5年、GoToで増える国内旅行で観光体制の再構築へ
流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「コロナ鎖国」がテーマ。コロナ禍によってインバウンド消費が消滅していく中、今後の新たな可能性を模索した。
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新型コロナで世界が鎖国状態になって約7か月、各国における感染防止対策はそれぞれだが、再びニューヨークの一部地域がロックダウン、パリではバーが営業停止になるなど、治療薬やワクチンが確立されるまでは一進一退の状況が続きそうです。
日本でもインバウンド消費が消滅しています。本来であれば、この秋口は東京五輪・パラリンピックが終わり、日本の良さが世界に広がり、日本のインバウンドが第2ステージに進んでいたのではないでしょうか?
インバウンドバブルの2015年には、私も会社員としてビジネスで恩恵を受けていました。開発したフェイスマスクを心斎橋のインバウンド売上上位の「マツモトキヨシ」の店頭で、中国人留学生を雇い、中国人を中心とする東アジアのお客さまにたくさんの商品を買っていただきました。
アフターコロナのインバウンドは、東アジアからの顧客が特定の場所に集中して買い物するという以前に戻ることはもうないでしょう。
といっても、人口減の日本で経済を維持するためには、日本の製造・生産されたモノを世界の人々に買っていただくとともに、インバウンドの観光客が日本に来て消費をしてもらうことが非常に大切となるのは間違いありません。
一方、日本国内の海外旅行人数2000万人、海外旅行消費額4兆4800億円(2019年実績JTB調べ)の一部は、GоToトラベルで国内に旅行先が変更になる可能性が高い。観光客を迎える体制作りを構築する機会であり、今後、世界から観光客を迎える試金石となりそうです。
また、海外旅行はいつになったら行けるのかと気を揉んでいる人もいるのではないかと思います。私も旅行ではありませんが、商談や視察で年に1回程度、海外に出掛けてたくさんの刺激をもらい、自分自身の成長の後押しとなっています。
ニューノーマルの海外旅行は以前より不便も多くなるのは間違いなく、今は無理だと分かりつつ、早く異文化に触れたいという気持ちが強くあります。
まずは「愛の不時着」にハマったので、灯台下(もと)暗しで行ったことのない韓国に行ってみたいなと思いを馳せる今日この頃です。
◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。