保健所行きを目前で逃れた子猫 愛犬を亡くして沈みがちだった毎日を変えてくれた
京都府に住む梅原さんは、13年間生活を共にした愛犬まろんちゃんを亡くした。同じ頃、梅原さんは自身も病気で入院して仕事を辞めた。退院後、それまで世話をしてきた愛犬もおらず、テレビの番をする日々。そんな時、長女から「保護猫を飼ってはどうか」と勧められた。
■一日中テレビの前で座っている毎日
2017年11月、愛犬まろんちゃんは梅原さんが病気で入院する2日前に亡くなった。13歳だった。病気がちで看病が大変な子だったので、梅原さんは家族に愛犬を任せて入院することを心配していた。しかし、まろんちゃんは、まるで皆に迷惑をかけないように、梅原さんが心配しないで治療に専念できるように…と願うように逝ってしまった。梅原さんは、入院するまでに葬儀を無事済ませることができ、もしかしたら入院中に亡くなって看取れないのではないかという心配がなくなり安心した。
仕事を辞めた梅原さんは、手のかかるまろんちゃんが居なくなったこともあり、何もすることがなく一日中テレビの前に座って動かないでいた。そんな梅原さんのことを心配した長女が、保護猫を飼うことをすすめてくれた。犬ではなく猫にしたのはもともと猫が好きで、独身の時、実家では猫を飼っていたからだという
■保健所に連れて行かれそうなところを保護
翌年4月、譲渡サイトで見つけた可愛い子猫に、梅原さんは一瞬にして心を奪われた。堺市の民家で野良猫が産んだが、その家の主が猫嫌いで、保健所に連れて行かれそうだった。奈良県で主婦4人が集まって保護猫活動をしている「チームねこまんま」が、その情報を聞いて保護したという。5匹きょうだいだった。
5月6日、梅原さんは、長女や次男と一緒に天理市まで子猫を見に行った。生後1カ月半くらいだった。写真で見た子猫は、他の子猫よりひとまわり大きく、やんちゃな感じだった。たくさんの希望者の中から梅原さんが選ばれ、譲渡してもらうことになったが、真菌にかかったという知らせが来た。当時梅原さんは治療中で、感染症に弱いため一瞬躊躇したが、家族で乗り越えようと迎えることにした。
■母の日に来た子猫
1週間後、ボランティアが子猫を連れてきてくれた。その日は「母の日」だったのでいい思い出になった。子猫は頭がハゲていてくしゃみばかりしていた。猫風邪をひいており、しばらくは病院通いをしたが、愛犬まろんちゃんもずっと病院通いをしていたので、苦にはならなかったという。
保護先でチャーと呼ばれていたので、なじんでいるだろうと思い、よく似た名前で考え、ちゃるくんと名付けた。ちゃるくんは最初怖がって隠れていたが、3日目の朝、目を開けると梅原さんの脇の下にすっぽりと収まっていた。ぴたっとくっついて寝ているちゃるくん。
「その時、本当に嬉しかったし可愛いと思いました」
それ以来、急速に距離が縮まって、ちゃるくんのほうから甘えてくるようになった。今でも寒い日は脇の下に潜り込んできて寝るそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)