母猫が事故死…カラスに襲撃された子猫たち 命の危機を乗り越えて今では甘えん坊シニア猫に
野良猫たちは過酷な環境で一生懸命に生きています。母猫が轢死し、大ピンチに陥った子猫の3兄弟。カラスに襲われたところを奇跡的に救われ、今では幸せに暮らしています。兵庫県芦屋市のTさんに危機一髪のピンチを救ってもらった猫たちです。こんなことって、あるんですね。
■カラスに襲われ大ピンチ
10年前のこと、Tさんが車でご主人を駅まで送る途中、家の近所で交通事故にあった三毛猫を見かけました。その時は時間がなかったので、そのまま駅に向かいましたが、帰りに同じ道を通るとすでに、その猫の死骸はありませんでした。帰宅すると、今度はカラスが何か灰色がかったものをつかんで飛ぼうとしている場面に出くわしました。
「色がグレーだったのでネズミかと思ったら、よく見ると子猫らしいのです」とTさん。ちょっと目を離したら、カラスから子猫が落ち、地面に。すぐに駆け寄り、見ると幸いなことに怪我ひとつなく、ほっとしたのでした。奇跡としかいいようがありません。
■生まれて1週間ほどの子猫
その現場近くにはさらにもう1匹、白い子猫がか細い声で鳴いていました。そしてよく探すと何と庭の木の穴にもう1匹、茶トラの子猫が。合わせて3匹の子猫が庭にいて、木の穴から出てきていたのでした。
「さっき見かけた三毛猫の子供たちだったようです。母猫が帰ってこないので、おそるおそる出てきたのでしょう」
このような形で命を落とす子猫は少なくありません。今回はたまたまTさんの庭で、そして、たまたまTさんが気がついたことでこの3匹の子猫は助かりました。
■2匹はTさんの家に、もう1匹は譲渡
保護された3匹は、まだ小さく数時間おきにミルクを与え、排せつさせるなど、Tさんが母猫に代わって献身的に世話をしました。あのまま放置されていたら命を落としていたに違いない子猫たちは、すくすくと育っていきました。
3匹とも男の子で、グレーの子はグレーちゃん、茶トラの子はトラちゃんと名付けられ、Tさんの家で暮らすことに。もう1匹の白い子は知り合いのところに引き取られ、ミーちゃんと名付けられ、今も元気にしているそうです。
■先輩犬とも仲良く…まるで兄弟
グレーちゃんとトラちゃんはとても仲良しで、いつもくっついて寝ているほど。性格も穏やかで当時Tさんが飼っていた柴犬の柴三郎くんとも仲良しだったそうです。
「最初は別々の部屋に離していたのですが、少しずつ距離を縮め、最終的には一緒にしましたが、心配無用でした」
逆に猫たちが柴三郎くんにちょっかいをだすほどでしたが、それでも柴三郎くんは受け止めて、優しく接してくれました。柴三郎くんが鳴くと、猫たちも一緒になって鳴いて大合唱みたいなこともあり、まるで三兄弟のようでした。
■先輩犬が亡くなり寂しい思いも
保護してから10年、穏やかで平和に暮らすグレーちゃんとトラちゃん。その間、先輩犬の柴三郎くんが今年の2月に13歳で亡くなりました。
「猫たちはいつも柴三郎が寝ていたソファの匂いを嗅いで、何か違う、どうしていないのかと思っていたようです。しばらくは柴三郎がいないことが、理解できていなかったようです」
今は、柴三郎くんがいつもいたソファが猫たちの定位置になっているそうです。
もしも、あのとき、見つけてもらわなければ、こんなに長生きできていなかったに違いありません。野良猫の寿命は長くても3~4年ともいわれているほど過酷。グレーちゃん、トラちゃん、ミーちゃんの3兄弟は、たまたまTさんの庭で母猫が育ててくれたことで命拾いしました。
「この子たちはまるで私を母親みたいに思っているようで、グレーは私が座るとすぐに膝に乗ってくるし、トラは寝る前、必ず私の前に寝転がり、5分ほどお腹を撫でてあげると満足するという感じです。2匹とも甘えん坊さんです」
これも「運命的な出会いかもしれません」とTさん。もっと、もっと長生きしてほしいと願っていました。
(まいどなニュース特約・山中 羊子s)