病気を抱えているけど「いたずらっ子」と「食いしん坊」…2匹の猫ちゃんにはお母さんの愛情が最高のお薬
今回ご紹介するちゅちゅちゃん(オス・2歳)、七味ちゃん(メス・6歳)は、とてもお元気な70代のご夫婦のもとで、他の猫ちゃん2匹と暮らしています。
明るく気さくなお母さんは、家庭菜園で作った美味(おい)しいきゅうりを袋いっぱいに持ってきてくださったり、お気に入りのお菓子などがあると、「美味しいものはみんなにも食べてもらいたいの」と差し入れてくださったり、愛おしそうに猫ちゃんたちの様子をお話ししてくださったりと、たくさんの幸せのおすそ分けをしてくださいます。
そんなお母さんに愛されているちゅちゅちゃん、七味ちゃんは、それぞれに病気を抱えています。ちゅちゅちゃんは、猫白血病ウイルスに感染していて、定期的にインターフェロンのお注射をうちにきています。七味ちゃんは、猫特有の呼吸器疾患を治療中です。
数年前、七味ちゃんは首にひどい傷を負いました。治療に数カ月かかり大変な状況の中、早く傷が治るようにと、お母さんはいろいろな工夫をしてくださいました。首に当てていたガーゼ取り換えの際には、七味ちゃんに「良くなるためだからね」と話しかけ、七味ちゃんもそれに応えるよう、おとなしくガーゼ交換をしてもらっていました。
今も、お薬の時間には、七味ちゃんにしっかりといい聞かせてから飲ませてくれているそうです。お母さんが前向きなお気持ちでいてくださるので、ちゅちゅちゃんも七味ちゃんも経過は良好。お母さんの愛情とパワーはどんなお薬よりも効果的です。
ちゅちゅちゃんは、ウイルス感染にもかかわらずお家で一番のいたずらっ子、七味ちゃんは呼吸器疾患があるにもかかわらず一番の食いしん坊。そして、そんなお母さんのパワーの源は、やっぱり猫ちゃんたち。お忙しい合間に猫ちゃんたちを抱っこして「会話」をする時が、お母さんの一番の癒やしの時間。お母さんのお話を聞くたびに、猫ちゃんとの絆の深さを感じます。
この幸せがいつまでも続きますように、と願いを込めながら、今週もちゅちゅちゃん、七味ちゃんの治療にあたらせていただきます。
◆小林由美子(こばやし・ゆみこ) 獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。
(まいどなニュース/デイリースポーツ)