「あっ、危ない」信号待ちで停車すると…前方車のタイヤ横に子猫を発見 「この子と出会う運命だった」
知り合いが保護した猫を飼おうと思って準備を進めていた高橋さん。準備が整い、いよいよ迎えるばかりになっていたが、思いがけず別の子猫を保護した。渋滞を避けていつもと違う道を通ったら、信号待ちで前に停車していた車のタイヤの横に子猫がいた。
■前の車のタイヤの横に子猫が!
2019年5月、夕日がきれいな日だった。山形県に住む高橋さんは、夕方から用事があって夫と車で出かけていた。いつも通る道が地域の祭りの影響で渋滞しており、迂回していつもと違う道を通った。信号待ちをしていると、夫が「前の車のタイヤの横に小さいモップみたいなものがいる!」と、突然大声で叫んだ。そこには確かに小さな子猫がもぞもぞと動いているのが見えた。
高橋さんは慌てて車を降りて子猫を拾いに行き、近くの安全な場所へ避難させた。周りを見回しても親猫の姿はなかった。生後4週間くらいの手のひらにすっぽり収まるサイズ。目は目やにで固まって開かず、何も見えない状態で路上をさまよっていたようだった。
高橋さんは、無事で良かったと胸が締め付けられた。ずっと動物との暮らしに憧れていたが、結婚後は夫の転勤等で慌ただしく、動物を飼う余裕がなかった。地元に戻って家を建て、“動物と暮らす”ということをゆっくり考える余裕ができた。夫はよく「救える命を救いたい」と言っていた。
「実は、ちょうどその頃、知り合いから猫を保護したという話があり、その猫を引き取る予定で準備を進めていたんです。ケージや猫のごはん、トイレ等を揃え、ほぼ準備は万端!という時に子猫を保護したんです。この子に出会う運命だったんだなと、と夫といまだに話しています」。
当初、迎える予定だった保護猫は、保護した人のもとで幸せに暮らしているという。
■小さいながらも懸命に生きる
保護した時、もう動物病院は閉まっていて、明日の朝まで待たなければならなかった。
「生きていてくれるか気が気じゃありませんでした。お湯を入れたペットボトルをタオルにくるんで簡易湯たんぽを作ったのですが、体が温かくなったのかぐっすり眠ってしまって、とても愛おしく思いました」
子猫の名前は「せんせー」にした。猫を飼うなら、大好きな漫画「夏目友人帳」に出てくる猫のキャラクター“せんせー”と同じ名前をつけたいと飼う予定のない頃からずっと思っていた。
せんせーは、「にゃー」と言うよりも「ぴぃ」と一生懸命鳴いていた。とにかく小さくて、目には目やにと涙でぐじゅぐじゅに、鼻は鼻水と鼻づまりでぐすぐすしていた。
翌日、急いで動物病院に連れて行くと、思っていた通り生後4カ月くらいだった。猫風邪は薬を飲ませたら治るだろうと言われた。
■気づくとせんせーのことばかり考えている
せんせーはとにかく人が大好きで、同居の家族や、家に来る友人には自分から近づいて行く。どんなものにも興味津々で、たくさん遊んでたくさん寝る活発な子猫だった。よく膝の上に乗ってきては、頭を撫でて~とアピール。撫でてあげると、そのまま膝の上で眠る。
夫のことが大好きで、何をするにも後をついて歩く。高橋さんに甘える時は、お腹が空いた時。ちょっと悔しいですが、可愛くてたまらないという。おもちゃのネズミを投げると走って取りに行き、ネズミをくわえてまた戻ってくる。せんせーのおもちゃをカゴに入れているのだが、せんせーは自分でカゴからおもちゃを取り出して遊び、たまにカゴにおもちゃを片付けているそうだ。冬になると、夫婦の布団に一緒に入り、川の字になって寝ることが何よりの幸せだという。
猫を迎えてからは、自然と笑顔になる。スーパーに行っても猫用品、本屋に行っても猫の本、インテリアを見れば、これはせんせーに買ってあげたいなどと、頭の中は猫ばかり。高橋さんは、そんな毎日が楽しいという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)