先住姉妹猫に強烈に拒否された茶トラの子猫、かまわずグイグイ…すっかり家族の一員に
茶トラ猫のぽーちゃんは、子猫の時に兄弟と一緒におばあさんの家に現れた。母猫の姿は見当たらなかった。おばあさんは、以前、保護猫の里親を募集していたガーデニング雑貨店の店主に、ぽーちゃんたち兄弟の里親を探してくれるよう依頼した。
■野良猫の子猫
2018年9月20日、秋風の強い日の夕方17時頃、ガーデニング雑貨の店に、同じ町内に住むおばあさんがダンボール箱を抱えてやってきた。箱の中には、生後1カ月くらいの小さな子猫が3匹入っていた。
子猫たちはおばあさんの家の庭で遊んでいたらしく、親猫の姿はなかったという。この周辺で生まれた野良猫は、ほとんどカラスやキツネに食べられてしまうので、おばあさんは無我夢中で1匹ずつ捕まえて段ボール箱に入れたという。ガーデニング雑貨店の店主が、以前数回子猫を保護して、里親探しをしたのを知っていたので、店に連れて来たそうだ。猫風邪をひいていたので、店主は、翌日すぐに近所の動物病院に連れて行った。猫風邪とダニの薬を処方してもらい、健康状態が良くなったら譲渡することにして、里親を予約募集した。
■先住猫が強烈に拒否
北海道に住む加藤さんは、保護主の店で子猫を一目見た時、あまりの可愛さに、先住の保護猫姉妹の弟として引き取りたいと思った。
「天使かと思いました。白猫が2匹、茶トラ猫が1匹いたのですが、以前からずっと茶トラ猫と縁があったら引き取りたいと思っていたので、迷わず茶トラの男の子に決めました」
加藤さんは子猫を引き取りに行った。先住猫の姉妹はとても優しくて、面倒見が良く、友好的な性格なので、温かく迎え入れてくれると信じて疑わなかった。しかし、子猫を入れていたキャリーバッグの扉を開けた瞬間、子猫の存在に気づいた姉妹は、今まで聞いたことのないような恐ろしい重低音の唸り声をあげた。加藤さんは、びっくりした。
「今まで姉妹しかいなかった縄張りに、得体の知れない子猫が突然やってきたのですから心中穏やかではなかったのでしょう。子猫は保護主さんが飼っている猫たちにとても可愛がられていたのですが、うちに来て、先住の姉妹猫に拒絶され、うなられたんです。本当にかわいそうで、引き取らないほうが良かったのかと真剣に悩みました」
先住猫姉妹も子猫もストレスマックス。険悪なムードだったので、加藤さんは、気晴らしに子猫をキャンプに連れて行ったり、庭に出て外の空気を吸わせたり気分転換させたりした。
先住猫姉妹の名前がぴーちゃん(ぴーち)、ぷーちゃん(ぷりん)なので、子猫の名前はぽーちゃん(ぽてと)にした。
■猫のいる穏やかな暮らし
加藤さんは、子猫のにおいがたっぷりついた猫じゃらしで先住猫達を遊ばせて、まずにおいから慣れるように仕向けた。最初は怒りまくっていたが、猫じゃらしは大好きなので少しずつ慣れていった。少し慣れたところで、ぽーちゃんをケージから出して、3匹を猫じゃらしで遊ばせてみると、怒りながらでも少しずつ一緒に遊ぶようになり、1カ月後には受け入れてくれるようになった。時間と根気が必要だったという。
ぽーちゃんは、先住猫姉妹に拒否されてもグイグイ行くタイプ。人には温厚で甘えん坊だ。
得意技は、お皿に入れたかつお節を鼻息で吹き飛ばすこと。犬用の骨のおやつが大好きで、食べないがくわえて走り回っている。大の破壊魔で破壊されたものも数知れない。
加藤さんは、猫と暮らして家族の会話が増えたという。
「心が穏やかになり笑顔が増えました。心の安定剤というか、猫って本当に不思議な生き物です」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)