日本初のたこ焼き「粉」専門店!?…卵なしでも味わい深い「としのぶさん家の粉」に惚れ込んだ理由

 大阪といえば、たこ焼き。外を歩けば、コンビニエンスストアのごとくたこ焼き屋さんに遭遇するのが、この街だ。しかし、そんなたこ焼きの源である「粉」に目をつける店は今までにあっただろうか。

 大阪府寝屋川市に、日本初となる「たこ焼き粉専門店」がオープンした。その名も「としのぶさん家(ち)の粉」。たこ焼き屋を経営していた久保田利信さんが実際に使用していた粉を、店舗化して販売している。

 同店のモットーは、「食卓をテーマパークに」。その意図を聞いてみると、久保田さんと共同経営している岡田尚起さんはこう答えた。「そもそもたこ焼きとは、粉がなければ作れません。粉はたこ焼きを楽しむチケットのようなものです」

 岡田さんは、同店を経営する他にラジオ局を経営。作るのは素人でも、たこ焼きへの愛は誰にも負けない。

「作って楽しい、食べておいしい、それがたこ焼きです。家でたこ焼きパーティーをすると、上手でも下手でも楽しい。でも、誰が作ってもおいしい。食卓がテーマパークになれるんです」

 としのぶさん家のたこ焼き粉のおいしい食べ方を紹介しよう。

(1)「フワモチ仕立て」

必要な原材料は1リットルの水と粉だけ。卵はいらない。これだけで味わい深いたこ焼きが家で楽しめる。

(2)「屋台風カリトロ仕立て」

水と粉、そして卵1個、キャノーラ油25cc、出汁醤油小さじ1を混ぜることで、たこ焼き屋の味を再現できる。

(3)斜め上からたこ焼きを楽しみたいなら……「タコロッケ」

たこ焼きを焼くとき、たっぷりの天かすを加える。焼きあがったたこ焼きを、卵を絡めてパン粉で揚げて、コロッケ風に。想像以上のおいしさに、癖になってしまうかも……?

 一体どうして「たこ焼き粉」がメインなのか。ちなみに同店では、「たこ焼き」の販売は行っていない。そう聞くと、岡田さんは久保田さんとの出会いから語ってくれた。

 講演活動を行っている岡田さんは、全国を回る中で「日本一のたこ焼き屋を見つけたい」という思いから、たこ焼き屋めぐりをライフワークとしてきた。そこで出会ったのが、久保田さんのたこ焼き屋だ。

 岡田さんはたこ焼きだけでなく、彼の人柄にも惚れ込み、店に足繁く通うように。そして「もっととしのぶさんのたこ焼きが全国に広まってほしい」と粉のネット販売を開始。今春のステイホーム期間には、「おうち時間をもっと楽しく」という思いを込めて、粉の寄付も行なった。

 すると久保田さんの粉は「おいしい」と口コミで評判に。そして店舗を構えることに決め、クラウドファンディングならぬ「粉食らうど!ファンディング」を実施。すると3万500人分のたこ焼き粉が売れ、9月に店舗オープンが実現した。

 岡田さんには、2011年の東日本大震災の被災地支援で「ここにたこ焼きがあれば、もっと人々は元気になれるはず」と確信したものの、粉や材料を調達できなかったため実現せず、悔しい思いを味わった過去がある。そんな経験から、「としのぶさん家の粉」が卵なしで作れることに大きなこだわりを持つ。「例え災害があっても、これで簡単にたこ焼きが食べられます」と誇らしげに語る。

 同店がオープンして1カ月あまり、早速リピーターも押し寄せ、商売繁盛だ。

 岡田さんと久保田さんは、「今後、全国に展開していきたい。ネット販売だけでなく、対面で各地のお客様に粉をお渡ししたいです」と意気込む。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)

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