売れっ子女優に「ポンコツ店員」の過去、今もコンビニに籍あり 伊藤沙莉インタビュー

自分にとって今の仕事が天職であると信じたい。社会人であれば誰もが願うことだ。子役出身の女優・伊藤沙莉(26)も女優業を己の天職と考える一人だが、話を聞いていくとどうやらそこにしか居場所がなかった人のようにも思える。

兄でお笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介からも「芝居がなかったらお前は相当に危うい奴だ」と心配されたという、伊藤のアルバイト撃沈エピソードとは。

コンビニ、居酒屋、クリーニング屋、裁判所に並ぶ人。駆け出し時代の高校生から二十歳くらいまで色々なアルバイトを経験した。「女優以外で何か違うことができるのではないかと自分の可能性を信じて色々とアルバイトをしました。でもすべて上手くいかなかった。結局芝居しかないぞと。基本的に社会に適合できない人間なんです」と打ち明ける。

なにを大げさな…と詳しくアルバイトエピソードを尋ねると「コンビニだったらレジで寝てしまう。パンもいくつ電子レンジで爆発させたのかわからない。パンは温めるときに袋を少し切らなければいけないのに、それを忘れてポン、ボン!…新しいのお持ちいたしますぅ~というのが毎回。クレームの嵐でした」となかなかの強者だ。

そんなアルバイト経験を通して認識したのは、自分には好きな芝居でしか生きる道は残されていないという覚悟。「ことごとく何もかもが向いておらず、今の仕事しかできなかった。ちゃんとできているのかどうかはわかりませんが、でも女優業以外で褒められたためしがない。家族からは『芝居があって本当に良かったねぇ』と言われるので、ある意味で天職なのかもしれません」と命運と受け止めている。

作家・桜木紫乃による直木賞受賞作を映画化した『ホテルローヤル』(11月13日公開)を含む、今年9作品もの公開作に出演。女優業が堅調の現在は掛け持ちでアルバイトをすることはないが「私がバイトしたコンビニの店長さんが凄く優しい方で、いまだに籍を残してくれています。『女優としての仕事がなくなったらシフトを入れさせて!』と伝えているので、いつでも雇ってくれるはず」と広い心に感謝しきり。

クレームばかりのアルバイトにも関わらず、今も籍を置いてくれているとは不可解だ。そこには伊藤の不思議な人柄が数々の失態をカバーしてきたというカラクリがある。「レジ打ちの最中に寝てしまったときはさすがに怒られましたが、寝るにしても私はウトウトじゃなくて気絶したように一瞬でガン!と落ちる。悪気は本当にないんです。その悪気のなさが店長や同僚にも伝わっていたようで『伊藤さんお疲れですねえ』と。周りも責めようがなかったのかな?」と反省しながら自己分析している。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス