“間”が命!女優の伊藤沙莉を形成した松本人志と落語 「“見る”というより“聞く”」

作家・桜木紫乃による直木賞受賞作を映画化した『ホテルローヤル』(11月13日公開)でまぶしい女子高生姿を披露している、女優の伊藤沙莉(26)。セリフのイントネーションや醸し出す雰囲気、そして歩き方など反抗期にある女子高生の再現度の高さは、持ち前のベビーフェイスの成せる技だけにあらず。バックボーンには松本人志の存在と落語の影響がある。

幼少期からお笑いが大好きだった。「中でも『ダウンタウンのごっつええ感じ』や『一人ごっつ』は兄とハマりました。松本さんならではの間とか、突っ込む直前に一拍挟む“ん”とかが体感的に気持ちよくて。私は音に敏感なので、“見る”というより“聞く”という感じでした」と笑いの天才に刺激を受けた。

落語を“聞く”のも必然だったのかもしれない。落語を題材にした、宮藤官九郎脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』にハマった。「丁度同じくらいの時期に国語の授業で落語を披露する機会があって。自分でやってみても面白かったし、耳で聞くだけでも面白さが伝わるのが凄いと思った。同じ噺であっても、演じる人によって間とかも変わるし、それによって噺の印象もガラッと変わる。それが自分の中で驚きというか、新たな発見というか。いまだに飛行機に乗ったら機内で流れる落語を聞きます。オチの時に機長の挨拶が急に入ったりするけれど、その『今かいっ!』みたいな瞬間も好き」と変わった楽しみ方をしている。

松本人志や落語から学んだ“間”の魅力を女優業でも追い求めている。「お笑いで得た気持ちのいい間を自分の中で再現しようというよりも、自分の中でしっくりくるような気持ちのいい間を求めています。言葉では説明が難しい感覚の問題かもしれませんが、やっていて気持ちの悪い間というのもあります。それはお笑いと似ていて、狙うとスベる。あまり狙わず、瞬発での“いい間”を出したいですね」。26歳の見納め制服姿もさることながら、伊藤がこだわる熟練の間にも注目だ。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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