超激安ショップ、商品を買うだけで社会貢献までできちゃう? 得しながらSDGsな“もったいない”店
「イオンモール草津」(滋賀県草津市)が開業して以来、次々と商業施設がオープンし大きく街の雰囲気が様変わりした近江大橋周辺の琵琶湖東岸エリアに新たに5月にオープンしたあるお店が連日大賑わいとなっている。大賑わいの真相を探るべく話題の人気店「ecoeat大津瀬田店」を直撃した。
商業施設の中にオープンした広い店内は、パレット単位でハコ積みされている商品が並ぶ倉庫型店舗に近い。しかし、驚くべきはその商品の異常な値段設定だ。烏龍茶340ml缶18円(ワンケースで399円!)、コカ・コーラ綾鷹32円、亀田製菓ハッピーターン個包装50個入220円、柿の種50袋680円(定価3000円)、キャベツ50円、お味噌120円などなどとんでも価格がずらりと並ぶ。これからのクリスマスシーズンには嬉しいワインから作った本格的なノンアルコールスパークリング750ml180円など季節の商品やコーンスープなどを作る業務用冷凍コーンペースト500gが48円(定価1000円)と業務用スーパー顔負けの商品ラインナップだ。
しかも、何と「買うだけで社会貢献できる」という、実に気持ちのいい店らしい。
この店のからくりは賞味期限にある。売られているものは全て賞味期限が近いかまたは切れている(!)商品しかない。実は、営利を目的とした会社ではなくある目的のために設立されたNPOが運営している。
食品メーカーや卸・小売店等から規格外商品、販売期限、賞味期限を理由に廃棄される食品を仕入れ、食品ロス削減に取り組み、事業から得た利益や食品を福祉施設や生活困窮者に寄付する活動を行う超SDGsなお店なのだ。
食品ロス法が施行されて10年が経つが、食品廃棄物は未だに年間1561万トン、食品ロスは643万トンに上るという。(平成31年度農水省発表)ちなみに、643万トンと言えば、国民一人当たりが50キロ以上の食材をロスしている計算になる。これらを少しでも減らすことがSDGsになる。
「開店当初は来店者から『これ、期限切れ直前やん?!』と幾度と言われたが、常時2~3名の商品説明員を配置し丁寧な説明を繰り返す中で、市民の間に食品ロスの理解が広まってきている」と店舗を運営する橋本広宣代表は自信をにじませる。
寄付に頼りがちなNPOの運営もこうした事業をすることで、安定的な支援ができ、なおかつ消費者もメーカーも喜び、最終的に食品ロスが減るという社会貢献ができるというまさに「三方良し」なのだ。
現在、店舗数も大阪3店舗を筆頭に、兵庫、滋賀、東京、埼玉、高知、沖縄と着々とエコの輪が広がっている。
皆さんもご近所の店舗で「SDGsでお得な買い物」、ぜひ実践してみてはどうだろう?
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▽SDGsとは?
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省ホームページより)
◆村山 祥栄(むらやま・しょうえい)前京都市会議員、大正大学客員教授。1978年京都市生まれ。専修大学在学中は松沢成文氏の秘書を務める。リクルートを経て京都市議に。2010年、京都党を発足。2020年2月の京都市長選で出馬も惜敗。現在は大正大学客員教授。