猫と触れあえる京町家の自然派セレクトショップ「うちの福招きねこ~西日本編」vol.22
厳選された自然食品、天然由来の化粧品、洋服、猫雑貨などを販売している京都・北白川のセレクトショップ「コトリエ商店」。築85年の趣きある京町家に入れば、オーナーの尾藤俊輔さん(39)、妻の麻理子さん(37)夫婦と一緒に暮らすスコティッシュフォールドの「みかん」店長(メス、7歳)、シャムミックスの「おこげ」副店長(メス、1歳)と出会える。2匹とふれあえる店内のサロンは、子育てママやOLなどの間で人気急上昇中。2匹のおもてなしぶりなどを麻理子さんに聞いた。
麻理子さん みかんは7年前、私たち夫婦が入籍した直後に、知人のブリーダーさんから引き取った子。結婚したら猫と一緒に暮らしたいなとずっと思っていたんです。まだ生後2カ月くらいで、鼻の左側にある丸い柄がとても愛らしくて。私も主人も一目惚れでした。
「みかん・絵日記」(作・安孫子三和)という少女漫画があったの知ってます?人間の言葉が喋れるオレンジ色の猫・みかんと人間との心温まるストーリーで、私、その猫に憧れていて(笑)。その漫画の記憶もあり、毛の色も暖色だし、「みかん」と名付けました。
みかんは温厚な性格で、人が大好き。名前を読んだらワンちゃんみたいにトコトコ寄ってきます。お客さんが店にくると、壁によりかかって「スコ座り」(スコティッシュフォールド独特の座り方)を自ら披露して出迎えることもよくあります。そんなところがおもてなし上手で、ファンの方々の心をくすぐっています。
ご飯は朝と夜、あげているのですが、小さいころから、夜食べ残したカリカリを夜中の3時くらいに食べるという困った習慣があるんです。「今から食べるね」と、寝ている私をわざわざ起こしてからいつも食べるんですよ。食べ終わって撫でてあげるとゴロゴロ鳴き、私は心地よいそのゴロゴロ音を聞きながらもう一度眠りにつくんです(笑)。そんなふうに夜中起こされる生活がずっと続いています。
一方、おこげは1年前、個人で保護猫活動をされている女性から譲り受けました。店で販売している猫雑貨の売り上げの一部を、定期的に京都市の動物愛護基金に寄付させていただいているのですが、ただお金の支援をするだけじゃなくて、1匹しか無理だけれど、私たちも保護猫を迎え入れてみようと。
保護した女性によれば、おこげは、とあるガレージで母猫が産んだ4、5匹の中の1匹。ねこ風邪をひいて病院に通っていたため、他の兄弟姉妹たちはみんなもらわれていったのに最後まで残っていたんです。シャムミックスで可愛くて上品で、初めて抱っこした瞬間、「私が引き取らせていただきます」と即返事をしていました。
おこげはお客さんの膝の上に自分から乗る愛嬌たっぷりな子なので、そうされた方々はもうメロメロになります。ただ、先住のみかんとは、なかなか仲よくならなくて…。初めておこげがここへ来たとき、みかんはシャーと威嚇してすごく警戒していました。1年が経ったいまは、ようやく同じ空間に一緒にいられるようになったくらい。どちらかが近づきすぎると取っ組み合いになります。おこげ副店長は、みかん店長の見習いなのですが、いつか2匹が添い寝してくれる日を夢みています(笑)
ここは築85年の京町家で、2018年12月に開業しました。当初は有機野菜を中心に扱っていましたが、体に優しい自然食品、天然由来の化粧品、猫雑貨、洋服なども次第に扱うようになり、いまに至っています。私は元々、美容関係の仕事を長くやってきたので、美容と健康、動物との幸せな暮らしをテーマに、全国から良質のいろいろな商品を探し、ご提案しています。
私たち夫婦には4歳の息子が1人います。息子の育児中、よく感じたのは、一緒にまちへ出ると、幼い子どもを連れて行きやすい店と、連れて行きにくい店があるということ。行きやすい店というのは、ベビーカーが置けたり、オムツ替えや授乳ができたりといったお店。他にもいろんな店に行ってみたいけれど、どうしても行きやすい所ばかりに足が向くようになるんですよ。幼い子どもを連れたママが買い物や人との会話を楽しめる、あるいは子育て中のママを応援してくれる、そんなお店がもっとあったらいいのにとよく思ったものです。
そこで、うちには8畳の奥の間があるので、そのスペースを開放して、小さいお子さんと一緒に過ごしたり、ワークショップを開催したりできる「コトリエサロン」をつくりました。おもちゃをたくさん用意しているので、子育て中のママさんは、ここで子どもを遊ばせている間に買い物ができます。「こんな場所を探してた」と言われるママさんは多いです。ワークショップは、ハーバリウム、干し柿づくりなど、定期的にいろいろ企画しています(現在はコロナ対策のため予約制)。
ある幼稚園児の男の子は、おこげの絵を描いて持ってきてくれます。お母さんいわく、「猫を飼ってあげたいけど、まだ飼う余裕がない」とのこと。その子は本物の猫を撫でたのはおこげが初めてだそう。いつもは猫のぬいぐるみを大事に持っていて「おこげに見せてあげるんだ」って。サロンではお母さんもリラックスしていて、とても楽しそうです。みかんやおこげはいつも優しく接してくれています。
私たちにとっては、息子が長男、みかんが長女、おこげが次女。かけがえのない家族であり、一緒に働く同僚でもあります。店には子育て中のママさんだけでなく、OLやお孫さんがおられる方など幅広い年齢層の方が来られます。やはりみなさん猫好きで、美容や健康に興味のある女性が多いですね。ここでひとときゆっくりとくつろいでいただいて、心も体も元気に、美しくなっていただけるよう、みかん店長、おこげ副店長とともに、これからもお手伝いをしていきたいと思っています。
【店名】「コトリエ商店」
【住所】京都市左京区北白川瀬ノ内町30番地2
【電話】050-5437-1799
【営業時間】10:00~15:00(日月祝休)
(まいどなニュース特約・西松 宏)