ネズミ用のトリモチにかかって保護された子猫 里親になってみるとサビ猫の魅力にはまる
飲食店がネズミを捕獲するために仕掛けたトリモチにかかった子猫たち。愛知県に住む西井さんは、うち1匹のサビ猫の写真を見た時、その寂しげな表情が気になった。それまでサビ猫には関心がなかったが、一緒に暮らしてみて、サビ猫の魅力を発見したという。
■寂しげな表情が気になって
2019年8月、生後約3カ月の子猫が、飲食店のネズミ捕りのトリモチにかかって捕獲された。Pawer.を運営する大西さんが保護した。トリモチは洗って取り除くことができたが、受け入れ先がなくいったん元いた場所にリリースされた。翌日、みやこねこを運営する木村さんが世話をすることになったので、再度捕獲器で3兄弟一緒に捕獲。うち1匹はサビ猫の女の子だった。この時、母猫も保護されて、TNRされた。
愛知県に住む西井さんは、先住猫のりんちゃんを飼う前から猫を2匹飼ってみたいと思っていたが、りんちゃんが神経質なので多頭飼いは難しいと思い半ばあきらめていた。しかし、インスタグラムで飲食店で捕獲されたサビ猫の寂しげな表情の写真を見つけ、だんだん気になるようになり、里親になりたいと思った。当時、あまりサビ猫のことが好きではなかった西井さん。写真を見て、可愛いというより特徴のある鼻筋と前髪のような模様が面白いと思ったそうだ。西井さんが里親になることを決めたのは、大西さんと木村さんの考えに賛同したということもある。
■先住猫の真似をするように
2019年9月、大西さんが子猫を連れてきてくれた。木村さんの家にいる時は「つむぎ」という名前で呼ばれていた。西井さんは、前の名前を残したいと思い、呼びやすい「つむ」という名前にした。
つむちゃんは、木村さんの家で兄弟と一緒に1カ月間、家猫修行をしたが、その時は、兄弟の後ろに隠れたりおもちゃも取られたりしてしまうような、少し臆病な性格だった。しかし、西井さんの家に来てから一気に弾けたようで、先住猫のりんちゃんに甘え、なんでもりんちゃんの真似をして、ごはんをもうらう時に甘えた声で鳴いたり、りんちゃんのいない時を狙ってベッドを取ったりして、どんどん自分を前に出せるようになった。りんちゃんは最初から友好的で、子猫の世話が嬉しくて仕方ない様子で、すぐに仲良くなった。
■サビ猫の魅力を発見
サビ猫にあまり興味のなかった西井さんだが、つむちゃんを迎えてから、サビ猫の虜になった。
つむちゃんが来てから、りんちゃんの性格が変わった。つむちゃんの行動を観察して、「これは大丈夫」だと学んで、実践するようになった。りんちゃんは人に触られることを極端に怖がっていたが、ベタベタに触られても平気なつむちゃんを、びっくりするようにまん丸るの目で見て、自分もやってみようという気持ちになったようだった。西井さんには、真似し合うことで、自信がついていくのが見て取れた。
りんちゃん1匹だった頃は、腫れ物に触るような接し方をしていたが、明るく無邪気なつむちゃんのおかげで家中が笑いに溢れるようになったという。
つむちゃんを迎えたことで、西井さんは保護猫のことや猫ボランティアの実情を知った。2匹以上飼うことはできないが、少しでもボランティアの手伝いをしたいと思い、里親探しで不人気だと言われるサビ猫の魅力や里親が見つかって幸せになった保護猫をYouTubeで紹介しているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)