草むらに捨てられていた生後間もない子猫たち、猫好き夫婦に引き取られ「一生の宝物」と幸せに
真夏の夕方、草むらにまだ歩くこともおぼつかないような3匹の子猫が捨てられていた。偶然子猫を見つけた人は、そっと抱き上げて保護。猫好きな姪の杉浦さんに連絡した。杉浦さんは、思いがけず2匹の子猫を飼うことになった。
■草むらに捨てられていた子猫たち
2019年7月19日の夕方、神奈川県に住む杉浦さんに叔父が突然メールで連絡してきた。「子猫を3匹拾ったんだけど、1匹でも良いから引き取れない?」と尋ねられた。
空き地の草むらの真ん中に3匹の子猫が段ボールにも入れられず、置き去りにされていたのだという。
「その空き地は叔父の家の隣の駐車場付近にあるのですが、叔父が帰宅した時、草むらで何かが動いていたので気になって見にいくと、子猫が捨てられていたそうです」
発見当時、子猫たちは生後2週間くらいで、ほとんど目も見えていない状態だった。捕獲機などは使わず両手で抱きかかえ、ひとまず自宅に連れ帰り、ミルクなどを与えて命を繋いだという。
■1匹だけにするつもりが、2匹引き取ることに
叔父の家庭には生後間もない赤ちゃんがおり、すでに猫を1匹飼っていたので、それに加えて子猫を3匹飼うのは難しかったようで、すぐに杉浦さんに連絡がきた。
「メールでのやりとりだったので詳しいことは分からなかったのですが、私は1日でも早く引き取りに行きたいと思い、翌日、叔父の家に猫を引き取りに向かいました」
杉浦さんは夫婦ともに猫好きで、猫を1匹飼っていた。実家でも猫を3匹飼っていて、昔から家族みんな猫好きだった。
夫と共に子猫を引き取りに行くと、子猫は思っていた以上に小さかった。
「とにかく小さくて、こんなに小さな命を私が守っていけるのかどうか、無事に育てあげられるのかどうか考えました。3匹とも引き取ることはできないけど、私たちにできる限りのことをしようと主人と相談し、当初1匹のみを引き取ろうと考えていましたが、結局、2匹引き取ることに決めました」
■捨てた人は許せないが、子猫たちに出会えてよかった
子猫たちは小さくて歩くこともままならない状態だった。杉浦さんがひとまずミルクを飲ませると、お腹がいっぱいになったようで気持ち良さそうに眠った。
先住猫は気が強く怒りやすい性格なので、子猫の世話をすることはなかった。子猫の寝床をのぞいては、興味深げに手を伸ばすことはあった。
杉浦さんは、ペットにマロンという名前をつけることに憧れていたので、初めてキジトラの子猫の顔を見た瞬間に、マロンくんという名前にしたいと思った。黒猫の子猫は、見た目がくまさんそっくりだったのでテディーベアから名前をもらい、テディーちゃんにした。
マロンくんは、家に来た最初の日から、お腹を丸出しにして大きな口を開けて安心しきって眠っていた。ミルクの時間になると、哺乳瓶ではなく指をしゃぶるようになり、今もずっと指をちゅっちゅ吸ってくる。とにかく甘えん坊な性格で、寝る時も常にくっついて朝まで離れないという。テディーちゃんは、とにかくおてんば。小さい体なのに、大きな声で鳴いてたくさんお喋りをする。毛布などのふわふわした素材のものと靴下を噛む癖があり、おかげで杉浦家の毛布は穴だらけ。靴下もほとんど穴があいてしまい、何足も捨てた。甘えたい時は、喉を鳴らすグルグルが止まらない。布団の中に入るのが好きで、毎晩一緒に寄り添って寝る。
「マロンとテディーを迎えてから、家の雰囲気がとても明るくなりました。夫との会話も増えて、笑顔が絶えません。私の両親や姉も猫が好きなのでよく家に遊びに来るようになりました。もちろん大変なこともたくさんあるけど、この子たちがいなかったら私は今、こんなに幸せではないと思います」
杉浦さんは、猫を捨てた人を許すことはできないが、子猫たちと出会えて本当に良かったと思っている。一生の宝物なのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)