運命を感じた2匹の猫は、以前飼っていた猫の「生まれ変わり」のよう ドタバタの楽しすぎる毎日が幕開け
いつか猫を保護して自分で飼いたいと思っていた藤さん。ボランティアをしている人に、その気持ちを伝えていた。ある日、ボランティアから「自宅近くにやせ細った子猫がいる」という情報をもらった藤さんは、息子たちと一緒に保護しに行った。
■野良猫の子猫を捕獲
福岡県に住む藤さんは、2017年9月2日の夜、隣市に住む友人のAさんから、自宅近くにやせ細った子猫が2匹いるという連絡をもらった。以前から保護猫を飼いたいと思い、7匹の保護猫と暮らすAさんに声をかけていたという。Aさんは、この辺りにはエサだけ与えて不妊手術のことは考えない人がいるので野良猫が多く、毎年子猫が生まれると言っていた。
翌日、藤さんは、ソワソワしながらも仕事を終え、暗くなる前にAさん宅付近に子猫を探しに行った。高校生と大学生の息子達もついてきてくれた。
踏切のすぐ側にいた数人の小学生が、生後3カ月くらいの子猫を抱いたり撫でたりしていたので声をかけると、目の前の家から男性が出てきて、「一回エサをあげたら居ついて困っている。連れていっていいよ」と言った。
「踏切のすぐ側で危険でしたし、保護することしか考えていなかったので2匹とも連れて帰りました」
幸い怖い目にあったことはないようで、子猫たちをすぐに抱っこして保護することができ、持参した洗濯ネットは使わずに済んだ。
■まるで先代猫の生まれ変わりのよう
藤さんが学生の頃、台風の夜に姉が目も開いていない三毛猫のすずちゃんを拾ってきた。哺乳瓶で育て、昼間はお母さんが、夜間は藤さんが世話をして元気に育ってくれた。その後、ひょっこり現れた成猫の笹かま猫のもん太くんも飼うことになった。
「猫のいる生活がどれほど幸せなものか知っていたんです。いつか猫を保護して飼えたらいいなと思っていたので、Aさんにも声を掛けていました」
子猫たちを保護した時、藤さんは驚いた。保護した子猫が、三毛猫と笹かま猫だったのだ。
「一目見て、わぁ~、まるで以前飼っていたすずともん太の生まれ変わりのようだ!と勝手に運命のように思いました」
2匹は人に慣れていたが、やせ細ってぐったりしていた。シグくんはボーっとしていて、口元の怪我が痛々しかった。ミコちゃんは猫風邪をひいて鼻水を垂らしていた。翌日、動物病院に連れて行き、寄生虫や猫風邪の処置をしてもらったが、大きな異常はなかった。2匹とも毎日ごはんをもりもり食べ、日に日に元気になっていった。
■可愛くて、楽しくて
2匹を飼い始めた時、Aさんの提案で、1匹はもらわれていくかもしれないので、しばらく白猫(笹かま猫)を「しーくん」、三毛猫を「みーちゃん」と、毛色にちなんだ愛称で呼んでいた。しかし、仲良く遊ぶ2匹の兄妹を引き離すのもかわいそうだし、笹かま三毛猫ペアに運命を感じていたので、家族会議の結果、満場一致で2匹とも藤家の猫になった。そのままの愛称で呼びたかったので、しーくんをシグくん、みーちゃんをミコちゃんと名付けたという。
当時、藤さんは、9歳になる雌犬のチャロちゃんを飼っていたのだが、チャロちゃんは、子猫を熱烈歓迎した。熱烈すぎてシグくん、ミコちゃんは引いていた。
シグくんは人懐っこく甘えん坊でとても優しい男の子。猫が苦手な人にも好かれる。好奇心旺盛だがビビリで、一時保護した子猫のことも最後まで怖がっていた。ミコちゃんのことが大好きで、藤さんのストーカーでもある。
ミコちゃんは人見知りの甘えん坊。声が高くて、どんくさい。顔が小さく小柄な子だが、不妊手術をしてからはものすごい食欲で、ごはんをセーブしていると家中の食べ物を荒らす。キャットフードはもちろん、米袋や紙パックのお酒も穴を開けて、中身がジャーとこぼれる事件が度々起きているそうだ。
藤家は、先住犬チャロちゃんだけでも賑やかだったが、シグくんとミコちゃんを迎えてからはますますドタバタの楽しすぎる毎日だという。
「辛いことや悲しいことがあっても、家に帰るとチャロとシグとミコが毎日可愛くて、可愛くて…どれだけでも頑張れる気がします。へこんでいると必ず慰めにきてくれます」
藤さんは、「これから猫を迎えようとされている方も、ぜひ保護猫を迎えることを考えてみてください。人との出会いも猫との出会いもご縁なので」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)