“うちの子”がまねき猫に!世界に1つだけのまねき猫 きっかけは最初で最後の愛猫だった
透明感溢れるガラスのような瞳が印象的なまねき猫。これは、飼い主が撮ったペットの写真をもとに水墨画で描かれた、世界に一つだけのまねき猫だ。完全オーダーメイドなので、色柄はもちろん、繊細な瞳の色や輝きまでも再現。「うちの大切な猫が縁起物になるのがたまらない!」と好評を博している。
愛情を受け止めて描く。「写真以上にうちの子だ!」と評判
まねき猫の作者は、「水墨画あめつち(愛知県)」の水墨画アーティスト・田中芙弥佳さん。20代の頃、水墨画が持つ線の美に魅了され、力士などの水墨画で知られる田家阿希雄氏のもとで技術を学んだ。
中でも、田中さんが一貫して描いてきたのが動物。「小さい頃からとにかく動物が大好き。師匠のもとでは植物画や人物画もたくさん練習しましたが、それも、生命感溢れる動物の絵を描く技術を身に付けたい一心からでした」と振り返る。アーティストとしてのデビューは2008年頃。個展での作品発表のほか、全国の百貨店などに出展し、ペットの肖像画を描いてきた。
肖像画では、様々な角度で撮られたペットの写真を参考に、写真からは見えない性格までをヒアリング。「色・柄といった表面的な特徴だけではなく、お客様にとっての“うちの子”を表現したい。顔や足の角度、目線一つでも雰囲気が変わりますから、ポーズも含めてその子らしさを表現できるよう、詳しくヒアリングをします」。
中でもこだわっているのが、瞳の印象。「特に猫は、瞳がとても魅力的な動物。いただいた写真の瞳と、実際の瞳の色が違うこともよくあるので、そこはしっかりと伺います」。
写真からにじみ出るペットの生命感や飼い主に向けられた愛情、そして、ヒアリングから伝わってくる飼い主のペットへの愛情--、それらを受け止めて描く田中さんの肖像画は「写真以上にうちの子だ!」と喜ばれている。
では、なぜまねき猫にアートを始めたのか。きっかけは、今は離れて暮らす田中さんの愛猫・三毛猫の“つぶらちゃん”だ。「大学生の頃、ルームシェアをしていた友人と2人で迎えたのが、保護猫だったつぶらちゃんです。実家で猫を飼うことが許されていなかった私にとっては、やっと出会えた“うちの子”でした」。
ところが、一緒に暮らし始めて発覚したのが、田中さんの重度の猫アレルギー。「全身にじんましんが出て、掻きむしるから毎日血まみれ。とても悲しかったけれど、部屋を出るときに友人に引き取ってもらいました。だけど、今でもかわいくて仕方がない。アレルギーの薬を多めに飲んで会いに行ったり、写真をたくさん送ってもらったりしています」。
田中さんにとってつぶらちゃんは、最初で最後の“うちの子”。そんなつぶらちゃんを少しでも近くに感じたくて、小さなまねき猫につぶらちゃんを描いた。そして、まねき猫のつぶらちゃんを百貨店などでの出展時にも連れて行くように。すると、「これはオーダーできないのですか?」と声がかかるようになったという。
そうして、依頼に応える形でまねき猫にアートを施すようになった田中さん。「うちの子がまねき猫に!かわいい上に縁起がいい!」と喜ぶお客様の姿を見るうちに、「こんなに喜んでもらえるなら…」と、本格的にオーダーを受けることを決意した。紙に描くアートとは違いポーズは変えられないが、目の表情や全身の柄で“その子らしさ”を表現。「まさに、つぶらちゃんが招いてくれたご縁ですね」と唯一無二の愛猫に思いを馳せ、目じりを下げる。
サイズは、大(約18cm)・中(約13cm)・小(約9cm)の3種類。金屏風や座布団、台座などもオプションで用意する。価格は小サイズ10000円~。
「お客様にとっての“うちの子”が、つぶらちゃんのように幸せを運んでくれる象徴になってくれたらとてもうれしい。これからも、飼い主がペットに向ける愛情、ペットが飼い主に向ける愛情、私の動物への愛情が幾重にも重なり合うことで幸せが広がっていくようなアート活動を続けていけたら、と思います」。まねき猫アートのオーダー受付は11月27日から。
(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)