これは映えなのか?迫力満点「ドラゴンしゃぶしゃぶ」 高知発「寅八商店」の“維新料理”が評判だってよ
泳ぎイカの造りとカツオの藁焼きタタキが自慢の「寅八商店」(高知本店)がこのほど、大阪・梅田にリニューアルオープンして評判になっている。イカとカツオの看板メニューに加え、梅田店限定で「ドラゴンしゃぶしゃぶ」(2人前2200円、税抜き)を提供しているからだ。見た目は大胆で豪快、それでいて繊細な味は”維新”といっても大げさではない。
JR大阪駅から徒歩で5分ほど。飲食の激戦区”お初天神”に高知生まれの「寅八商店」がリニューアルオープンしたと聞き、訪ねてみた。店の前は14席のオープンテラスになっており、4月から11月にかけては外の空気を吸いながら飲食ができるという。
中に入るとアルコール消毒液とともに「高知家」証のプレートが設置され、その奥にはゆったりとした空間が広がっていた。店は1階と地下1階に分かれ、客席は全部でドドーンと100席。カウンター、テーブル、個室と使い分けができるのもありがたい。
そんな中、目尻を下げて迎えてくれたのは「寅八商店」などを運営する有限会社「A’s Creative Dining」代表取締役の明坂直樹さん。マスク越しに、あの橋下徹さんに似ていると思ったが、外すとこれがもう一段爽やかにした印象だった。
橋下さんだから”維新”を連想したわけではなく、その後に出された料理の数々は、すべてうなるほどのおいしさ。それもそうか。生け簀には透明のイカが元気よく泳ぎ、カツオを炙る藁は激しく燃えさかり、見た目からして、豪快だった。
その橋下さん、ではなく明坂さんは自分のことより、お客さんを最優先。食材や食べ方、さらには仕入れなど徹底的にこだわっている。高知をはじめ、三宮や心斎橋にも店を出しているのはそんなところが好感を持たれているからだろう。
「カツオはオキアミを食べた戻りガツオがいい。こんな感じで身の色がほんのりピンク色をしています。水温の変化で旬は変わって来ていますが、1月から3月にかけてがベスト」
実際、カツオのタタキにニンニクのスライスを乗せ、室戸海洋深層水の塩と自家製ゆずポン酢でいただいたが、甲乙つけがたいおいしさ。やっとほおばれるサイズも食べ応え十分だった。
そんな寅八商店のもうひとつの看板メニューが泳ぎイカの造りだ。イカはヤリイカ、アオリイカ、剣先イカとシーズンがあるため、入手ルートが途切れないように産地の情報をくまなくチェック。特製のイカストックでストレスがかからないように陸送する。「台風だと2、3日取れなくなるので、その点もケアしています」と明坂さんは言う。
しかし、ここ梅田店の自慢はこれだけではなく、トドメの一撃があった。いきなり出て来たタチウオの「ドラゴンしゃぶしゃぶ」のグロテスクさとその大胆なアイデアに、あ然呆然。食べると白身がホクホクして、感動を覚えたほどだ。そのとき、ふと頭に浮かんだのが”維新”の2文字。たぶん、坂本龍馬から来たのだろう。さらに出汁はカツオ節に加えマグロからも取っていると聞き、うまいはずだと納得した。
この他にも高知自慢の郷土料理「皿鉢料理」(2万円、3日前までに要予約)なども取りそろえ、お酒の種類も豊富だ。最後に「橋下さん、凄すぎる」と声を掛けると明坂さんは「ありがとうございます。これから吉村さんと松井さんに呼ばれたので、失礼しますね」と、とびきりの笑顔で返してくれた。土佐のいごっそうが率いる寅八商店。末広がりになるようにとつけた店名通り、いつまでも客の心をとらえて離さないはずだ。
(まいどなニュース特約・山本 智行)