パチンコ屋の駐輪場に捨てられ、ショップで投げるように返品され…2匹のスコティッシュフォールドの物語

静岡県の榊原さんのお家には、2匹のスコティッシュフォールドの男の子がいます。ティノちゃんにアースちゃん。いたずらもたくさんするやんちゃな2匹ですが、お家にくるまでには過酷な日々を過ごしていました。

ティノちゃんはダンボールに入れられて、パチンコ屋の駐輪場に捨てられていたといいます。お店に入れるわけにもいかず、飼い主がすぐ見つかるわけでもなく…お店のお客さんと店員さんが困っている様子を見て、榊原さんは後先考えずにすぐさま引き取ったといいます。

引き取ったその足で、ティノちゃんを動物病院に連れてくと、最初は三毛猫だと思っていた種類が、スコティッシュフォールドだったことが分かりました。獣医師はこういったといいます。「この子は立ち耳だし、足の皮膚病があるから捨てられたね。…この種類の猫で立ち耳は高く売れないから」。ブリーダーにとっては、人気の垂れ耳でなければ高値は付かず、治療してまで売り物にしようとは思われなかったのかもしれません。

また、ティノちゃんの弟分にあたるアースちゃんは、購入された翌日にペットショップに返品されてきたといいます。「可愛くない」「懐かない」…といった理由で、飼い主は生きている子猫を床に叩きつけるように投げ捨て、有無を言わさぬ雰囲気で立ち去ったといいます。

ペットショップで返品されてきた生き物は売り物にならないといわれています。商品ではなくなってしまった子猫に、このあとどのような暮らしが待っているのか…。職場が近くにあり、よくこのペットショップをのぞいていたという榊原さん。顔見知りの子猫がまたお店に戻ってきたことを知り、このあと訪れる過酷な日々を想像し、引き取ったといいます。今では榊原さんの手をまくらにして寝るなど甘えん坊になりましたが、お家にきたときは所在なげにちょこんと座るばかり。ゲージから自分で外に出られるようになるまで、2、3カ月がかかったといいます。

   ◇   ◇

家族みんなが動物好き・猫好きの榊原さん。今では犬2匹、インコ8匹に、4匹の保護猫と一緒ににぎやかに暮らしています。最初の引き取った猫は、ペットショップで1年間キャリーケースの中に閉じ込められていたため、心まで閉ざしてしまっていたアメリカンショートヘアでした。今年の春にもスーパーの駐車場に残されたダンボール箱の中に、出産して間もない繁殖用の猫が捨てられているのを保護しています。

お家に引き取った猫たちに榊原さんは「ここにいてもいい」「ここがあなたの居場所」と繰り返し伝えてきたといいます。「話せなくても心は通じるし、必ずいつか動物は心を開いてくれる」と榊原さんは話します。

これまでの経験をもとに、「動物はおもちゃでも、お金儲けの道具でもない、家族です」と語る榊原さん。これまでもハンドメイドアクセサリーの販売などを通して、不幸な子たちに手を差し伸べてほしいこと、小さな命を奪わないでほしいことを伝えてきました。

もしも…助けを求めている命がいたときは「見て見ぬふりをしてほしくない」と榊原さんは訴えます。小さな子どもがいたり、ペットが飼えない住宅だったり…たとえ動物が飼えない場合でも、動物病院や、動物愛護センターなど、里親を探す活動につないでくれる場所があるはずです。ぜひ勇気を出して相談してほしい…と話しています。

(まいどなニュース・川上 隆宏)

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