一人四役でパパ&ママ世代も注目!3つの“まさか!?”内田慈ってどんな女優?
“まさか!?”。そんな驚きの引き出しを持っているのが、女優の内田慈(37)だ。パパ&ママお馴染みのNHK教育番組『みいつけた!』での一人四役の声優業から、高視聴率連ドラ『半沢直樹』、さらに大塚千弘とW主演した競技ダンス映画『レディ・トゥ・レディ』(12月11日公開)まで八面六臂の活躍ぶり。しかも今年9月からはフリーランスとして女優活動をリスタートさせた。視聴者や観客を沸かす“サプライズ”女優、内田慈に根ほり葉ほり聞いてみた。
“まさか!?”その1。『みいつけた!』の人気コーナー「いすのまちのコッシー」では、ノビー、デテコ、フーフー、キネさんなど複数のキャラクターの声を務めるほか、歌唱も担当。それぞれの役柄に合わせて声色を変えて演じていることから、エンドロールの内田の名前に「一人でやっていたの!?」と驚くパパ&ママも多い。
内田は「番組ディレクターがとても面白い方で、キャラクター作りと同時に声の特徴などのアイデアを出してくれました。それに私が応える形で色々と引き出してもらいました」と謙遜しながら「番組に参加して10年程経ちましたが、私のことを知ってくださる方が増えました。例えばSNSで『みいつけた!』のCD発売の告知をすると、パパ・ママ世代はもちろんのこと、お子さん世代からの反応もいただきます。こんなにも色々な人と繋がっていけるお仕事なんだと、改めて喜びを噛みしめています」と継続の力を肌で感じている。
“まさか!?”その2。今年9月からフリーランスとして女優活動中。コロナ禍という“まさか!?”の事態に、内田自身も思うところがあった。「未来の計画が今までのように立てづらい現実がある中で出てきた選択肢です。最初は恐怖でいっぱいでした。でもフリーになって2ヶ月経ってみて思ったのは、しっかりと人と向き合えばいいだけのことで、何を怯えていたのかと。いつまでこのカタチでできるのかはわかりませんが、今は少しずつ楽しさを感じています」と前向きだ。
請求書を書いたり、直接交渉したり。未経験をクリアするのと比例して自信もついてくる。「請求書の書き方一つとってもそうですが、わかることが増えると自信に繋がる。知らないことに触れて理解をすると、日常が違った形で見えてくる。今まで自分と無関係だと思っていたニュースにも興味が湧くし、知識がプラスされていくのが面白い」。
“まさか!?”その3。主演映画『レディ・トゥ・レディ』のために、30代後半にして競技ダンスに初挑戦。生活に追われる主婦・真子(大塚千弘)と売れない女優・一華(内田)が前代未聞の女性同士ペアを組み、自分自身の生き方を肯定していくダンスムービーだ。
競技ダンスは正規の男女ペアでさえも難しいのに、女性同士となると体つきや筋力の問題があり、なおのこと難しいという。「足のステップもなかなか上手く運ばず、足がこんがらがってドタドタ~!となるようなこともありました。筋肉痛は当たり前。体を思い切り反らせながら踊るせいか、肩甲骨の間が痛くなったりして。競技ダンスはまさに全身運動」と苦労の連続だった。
それでも演じたかったのは、脚本・監督の藤澤浩和の才気に惚れたからだ。「すごく明るい物語で笑いのセンスも抜群。同時に女性たちの心の葛藤も繊細に描かれている。誰もが笑えて、そしてホロッとさせられる。そんな物語を若い監督が作ろうとすることにワクワクとエネルギーを感じました」と受けて立つ構えだった。
猛特訓の末の力強く優雅な競技ダンス以外にも、たくさんの見どころがある。脇役に至るまでの立体的な人物造形や、観客を飽きさせない工夫に溢れた画作り。女性同士の連帯や自己肯定を爽やかに語りながら、クライマックスには「これぞエンタメ!」という感情を爆発させるような仕掛けもある。これが長編映画監督デビュー作とは思えぬ、藤澤監督の卓越したセンスの賜物だ。
内田は「美学とビジョンが明確な監督で、撮影中に“そう撮るの!?”とビックリしたこともあります。楽しいことを見つけるのも上手く、エキストラやアンサンブルの動きもすべてご自身で演出する。笑いも、わかる人にだけわかる笑いではなく、みんなに面白さが伝わる笑い。でも自分に酔っていなくて冷静でもある。ここまでのエンタメを堂々と作れるのは、才能がある証拠」と太鼓判だ。
本来ならば今夏公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。しかし内田は延期を好機と受け止めている。「競技ダンスを通して私が感じたのは、相手に寄り添い、相手を受け止める感謝の気持ち。それは未来に希望を持ちづらい現実が押し寄せてきてる今の時代にこそ、必要なもの」と確信。
鑑賞後には現実の暗さや憂鬱さを吹き飛ばす、突き抜けた爽快感が得られる。「一華たちの最後のセリフは胸に迫ります。どんな状況下であろうとも自分が楽しく生きれば、希望は必ず生まれる。そう教えてくれるからです」。
真子と一華の女性同士ペアの前には、男女ペアしか認めない競技ルールという大きな壁が立ちはだかる。抗えぬ困難に対して彼女たちはどのような答えを出すのか?映画館で二人の女性の奮闘を見守り、元気と勇気と希望を受け取ってほしい。“まさか!?”の大ヒットを期待したい。
(まいどなニュース特約・石井 隼人)