飲食店に対する追加支援は急務… 時短営業要請、外出自粛要請に苦しむ大阪の飲食店経営者
12月3日、大阪府は新型コロナウイルス感染者増加による医療体制のひっ迫を受けて府民に15日までの「不要不急の外出の自粛」を求めた。
11月24日にはキタ、ミナミの繁華街がある大阪市北区と中央区のアルコール類を提供する飲食店などを対象に、午後9時までの時短営業要請が始まったばかり。この要請期間も当初は11日までの予定だったが、外出自粛要請にあわせて15日までに延長されるという。
この未曽有の事態に大阪の飲食店経営者はどんな思いを抱いているのだろうか?女優業のかたわらキタで「ホルモン焼きうどん テン」を経営する三枝雄子(さえぐさ ゆうこ)さんにお話をうかがった。
「ホルモン焼きうどん テン」は三枝さんの故郷、兵庫県佐用町の郷土料理「ホルモン焼きうどん」が名物の居酒屋。コロナ流行以前までは深夜2時まで営業し、サラリーマンや業界関係者で賑わっていた有名店だ。
中将タカノリ(以下「中将」):営業時間短縮要請に加えて今回の外出自粛要請ですが影響はいかがでしょうか?
三枝:うちは9時までの時短要請に応じているのですが、てきめんに客足が減っています。このあたりは元々が遅い時間帯に賑わう街なので、営業時間を前倒しにしてもなかなか難しいですね。近くの阪急東通商店街も8時くらいになるともう静まり返っています。飲食店はどこも厳しいと思います。
中将:1日2万円の協力金についてはどう思われますか。
三枝:もちろんないよりマシですが、このあたりの家賃や固定費を考慮すると焼け石に水ですね。スタッフを大勢抱えているお店はなお大変だと思います。事態営業要請が出た時点で、私の知り合いでもお店をたたむと言う方が増えました。もう経済的にも精神的にももたないのだと思います。
中将:ついこないだまでメディアではGo To Eatによる飲食店の盛況ぶりが頻繁に取り上げられていましたがテンの状況はいかがでしたか?
三枝:チェーン店や高級店は利益があったのかもしれませんが、うちのような小規模な居酒屋にはほとんど恩恵はありませんでした。利用されたのはほんの数件だけです。
中将:Go To Eatは一番困っている層を全然救済できていないという指摘は多いですね。本来ならこれから忘年会のかき入れシーズンですが今年は大変そうですね。
三枝:サラリーマンの方は会社から飲み会を禁じられている方が多いので、忘年会需要はまずないです。うちの場合、去年にくらべ売上が約7割減していますが、これから年末にかけてはさらに下回りそうですね。10月頃は少し客足が戻っていたので、飲食店仲間たちとスタンプリーのキャンペーンをはじめて「これから頑張るぞ」と張り切っていたのですが…。"へびの生殺し"ってこういうことなんだと実感しています。
「ホルモン焼うどん テン」店舗詳細
所在地:大阪市北区堂山町14-29 鈴木ビル 1F
営業時間:19:00~翌2:00頃(現在コロナ禍の影響で時短営業中。要確認)
定休日:なし
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コロナ禍が本格的になった今年3月以来、大阪の大半の飲食店はなんの希望も無い状況でひたすら逆境に耐えているようだ。このような状況が続けばほどなく「食い倒れの街」と言われた大阪の街はその魅力の源泉を失ってしまうことだろう。一度失われてしまった輝きはコロナ禍が終息してもけっして帰ってこない。アフターコロナの大阪経済復興という意味からも飲食店に対する追加支援政策は急務だと思うのだがいかに。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)