「おじいちゃんと暮らした頃のように幸せに…」冬迫る山で保護した猫に届いた、優しい手紙
「保護したニャンちゃん。お山でみんなに優しくされてもらっていたみたいなので貼り紙をしました。そしたら今日貼り紙の裏に優しい方からお手紙が。まだ名前をつけなくて良かった君はみいちゃんだったんだね」ー。
鮮やかに色づいた葉も散り、日ごとに寒さが募る中、Twitterユーザーのララ(@owner_stone)さんらが茨城県の愛宕山で保護したのは、1匹の三毛猫でした。
ララさんがみいちゃんと最初に出会ったのは、今年10月。いつも日課にしている散歩の途中で見かけたみいちゃんは「山にいる野良猫だから逃げるだろうと思ったのですが、手を差し出してみるとスリスリと寄ってきてくれて驚きました」といいます。
「本当はすぐ保護したかったのですが、私は家を開けることが多く、寂しがらせてしまう。飼うことはできないけれど、せめて防寒だけはしてあげたい。どうすれば…」と毎晩毎晩考えたものの、良いアイデアが浮かばず、数日間は餌やりだけに通ったといいます。
そんな話を、何の気なしに知り合いの高齢者施設のオーナーさんに相談したところ、心優しいオーナーさんはいてもたってもいられなかったようで、翌日小雨の降る中、雨ガッパを着て保護用のボックスを持ってララさんの家の玄関前に。すぐに2人で山へ向かいました。
みいちゃんは、いつもニャーニャーニャーと呼ぶとどこからともなく現れ、車が来ると車道近くまで行き、綺麗にお座りをして車を確認します。ララさんらは「保護するのは本当にこの子にとって最良の方法なのか?」とも自問しましたが、それでも茨城の山の冬は厳しく、日に日に寒さは増していきます。みいちゃんはその日も同じように現れると、すんなり保護され、オーナーさんの高齢者施設で暮らすことになりました。
獣医さんの診察では、年齢は中高年とみられ、「山での野良生活が長かったはずなのに感染症もなく、血液検査でも数値はすこぶる良かった。注射の時も先生が驚くほど良い子にしていました」とララさん。「優しい方々によほど大切にされていたのだろうな…」と、保護した付近に貼り紙をしました。
「かわいがってくれた皆さんへ。わたしはあたたかくして毎日たくさんゴハンを食べて元気にしています。皆もカゼひかないでニャ」。施設の部屋で寛ぐ写真も添えました。
すると数日後、貼り紙の裏に、手紙が。
「みいちゃんを連れて行って下さった方へ。
この度はみいちゃんの元気な様子を写真で見せて下さり本当にありがとうございます。私達もとても心配して居ました。でもこの写真を見て一同ほっとしています。寂みしさもありましたが安心しました。
みいちゃんは賢こく人なつこくあまえんぼうです。可愛がって下さい。(中略)
今のみいちゃんは、おじいちゃんと幸せに暮していた頃を思い出しているかも知れません。ありがとうございます。お礼申し上げます」(原文ママ)
ララさんの知人が山の散歩仲間に聞いた話では、みいちゃんはもともと、愛宕山の麓で優しいおじいさんに飼われていたそうです。ですが、おじいさんが亡くなり、経緯は分からないものの、それからはずっと山で暮らしていたのだといいます。「もしかしたら、車が来るたびに確認していたのも、おじいちゃんを待っていたのかもしれません」とララさん。
持ち帰った手紙をみいちゃんに読んで聞かせると、みいちゃんは、ジーっと見つめていたそうです。「みいちゃんには優しい方がどなたか、わかっていたようでした。天国のおじいさんに安心してもらうためにも、私たちはみいちゃんを責任を持って可愛がっていくつもりです」。みいちゃんは今日も、先住の犬5匹、猫1匹、ハムスター1匹と一緒に、高齢者施設の癒しスタッフとして生活しているそうです。
(まいどなニュース・広畑 千春)