子猫と思って保護した猫は、初老で腎臓病を患っていて…3カ月で訪れたお別れ 挨拶する姿に「ありがとう」

公園で偶然見かけた猫に翌日も再会。なでると喉を鳴らして喜んだので、愛着がわいて保護することにした。小さいので子猫だと思っていたのだが、既に8歳くらいの初老の猫で、腎臓病を患っていた。

■公園で見かけた猫に再会

2019年4月29日の夜、兵庫県に住む川崎さんは、マンションの近くの公園で、黒猫の子猫を見かけた。

「ぽつんと座っていたので、親とはぐれたのかな?あまり見かけない猫だなと思い、何か気になったので写真撮りました」

子猫に「どうしたの?」と話しかけると、ササッと草むらに隠れてしまった。川崎さんは「母猫のところに戻ったのかな」と思い、帰宅した。

翌日の夜、ゴミを捨てにゴミステーションに行ったら、顔見知りの猫好きな男性がいたので挨拶をした。すると、その人が「最初ぬいぐるみやと思ったんやけど、猫がおるんや!」と言った。その猫は、川崎さんが公園で見た猫だった。

男性によると、子猫がゴミ収集ラックの上にポツンと座っていて「こっちを見るとニャーニャー鳴き出し、僕の方に歩いてきて足に頭を擦りつけてきた」という。話を聞いた川崎さんは、「えっ!ウソ!何でこんなところにいるんや?マジで!どうしよう」と慌てたが、とりあえず男性と、その場に捨ててあった段ボールで簡易のハウスを作り、人気のない駐輪場に移動した。

「可愛いとか可愛くないというより、びっくりしました」

■私が助けたらなあかん

男性は、「えさを家に取りに行ってくる」と言って、いったん家に戻った。男性が戻ってくるのを待っている間、川崎さんは、「もう大丈夫!ごはん食べられるからな」と励ました。撫でるとノドを鳴らして喜んだので、川崎さんは、「助けたらなあかん、これは何かの縁だ、連れて帰ろう」と思った。

男性が戻ってきてえさをあげ、食べている間に川崎さんは「私が保護する」と伝え、初めて猫を飼うので何が必要なのか相談した。男性が知り合いに電話してくれて、使っていないケージとトイレの砂、ペットシーツを譲ってもらうことになった。夜遅かったが、川崎さんは、その人の家までシャンプーなどグッズをもらいに行き、子猫を家に連れ帰った。

■子猫ではなく初老の猫だった

帰宅後、お風呂に入れると、ノミに喰われたからなのか、茶色く汚れた泡が出てきたので、何回も洗った。ごはんをあげたら顔振って食べていたので、何か食べにくそうにしているな、おかしいなと思ってよく見ると、下の牙が一本抜け落ちていた。「あれ?子猫なのにもう歯がないの?生え変わり?それとも野良って、やはり過酷な環境だからどこかにぶつけちゃったのかな?」と考えた。

川崎さんの母親が好きなテレビ番組のキャラクターにちなんで、名前はチコちゃんにした。 

翌日、近くの動物病院に連れて行くと、体重1.7キロで、歯の状態から見て最低でも8歳は超えているのではないかという話になり、子猫だと思っていたのがシニアに近い猫だと判明した。

猫エイズ、白血病は陰性だったが、極度の貧血ということが分かり、造血剤と抗生剤を注射した。月に2回注射を打ち、体重も3キロ近くまで増え、体調も良くなってきた。

川崎さんの母親は、足が悪くなってから、あまり外出することがなくなり、引きこもりがちになっていた。しかし、チコちゃんがきてから色々な刺激を受けて性格が明るくなり、リハビリのディサービスにも前向きに通うようになったという。

■穏やかな最期

チコちゃんを迎えてからいいこと尽くしだったが、ある日、チコちゃんが血尿をした。検査をすると、チコちゃんは腎臓病を患っていた。良くなっては悪化するということを繰り返し、どんどん体調が悪くなり、家で点滴と給餌をすることに。元気な時は2階の川崎さんの部屋で一緒に寝ていたが、弱ってくると、玄関で寝る生活になった。

トイレとごはんの時以外は寝ていて、あまり動かない。2019年7月、珍しくチコちゃんが階段を登って川崎さんの部屋まで会いにきてニャアと鳴いた。「エッ!ウソっ!嬉しい!」と思ったと同時に、これは最後に挨拶にきてくれたのかなと思い、川崎さんはチコちゃんを抱き上げた。チコちゃんは、元気な時によくフミフミをやってと言ってお腹の上に乗ってきたので、同じようにお腹の上に乗せると、ノド鳴らしながらフミフミした。

「ありがとうねって言いながら撫でました。その数日後、家族に見守られながら苦しまず息をひきとりました」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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