何が出るかな…1000円で本物の真珠アクセサリー!?話題の「あこや真珠ガチャ」の真相に迫る
1000円で本物の真珠アクセサリーが入ったガチャガチャができると話題になっている。題して「あこや真珠ガチャ」。ワクワク感とお得感を同時に楽しめるとあって、ただいま全国に展開中。クリスマスや年末年始に向けた運試しもかねて、注目が集まっているようだ。しかし、なぜ真珠をおもちゃのようにこんな低価格で販売しているのだろうか。
■中身は認定証付き、本物の愛媛県産真珠
コインを入れてハンドルを回すと、小さな玩具が入ったカプセルが出てくる機械の正式名称を「カプセルトイ」という。時代や地方によって「ガチャガチャ」とか「ガチャポン」など呼び方が異なるけれど、本稿では「ガチャガチャ」と呼ぶことにする。
すでにテレビ番組でも取り上げられ、人気が出ている真珠アクセサリーのガチャガチャ「あこや真珠ガチャ」。中に入っている真珠は、正真正銘の愛媛県宇和島産だ。
本真珠がガチャガチャで売られるようになった経緯を、愛媛県大阪事務所・観光物産振興課長の酒井厚志さんに伺った。
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「2019年に、本県を含む養殖真珠の主要な産地で、アコヤ貝の稚貝が大量死する事案がありました。はっきりした原因は現在も不明です。そして今年は新型コロナの影響で、多くの冠婚葬祭や各種イベントが縮小もしくは中止を余儀なくされ、真珠のアクセサリーを身に着ける機会も激減しました。それらの影響もあり、販売量も大幅にダウンするなど、真珠業界は大打撃を受けています」
そんな現状をなんとか打破しようと、愛媛県宇和島市で真珠の加工卸業を営む宇和海真珠株式会社が、あるアイデアを打ち出した。それは、ネックレスを加工する上で外し珠として外された珠(たま)を単品でアクセサリーに加工して、ガチャガチャで販売する事だった。しかも価格設定は500円玉2枚の1000円。
規格外とはいえ、国産の本真珠アクセサリーが1000円とは……。
「安いですよね。真珠をもっと身近に感じてほしいという想いから、このような価格設定になったそうです」
通常フォーマルのネックレスを組む場合、42cmで仕上げる事が多く、通常の連材を使用して組む場合、2~3珠を外すことがあります。年間何万本とネックレスを組む中で、その外し珠が貯まり、行き場の無い珠が出てきます。
外し珠というのは、大きさや色が他の珠と揃っていないだけで、品質が劣るわけではない。だから単品でも十分に価値のあるアクセサリーになる。
ガチャガチャ商品のラインナップは、ネックレス、ブレスレット、指輪、イヤリング、ピアスの5種類だ。
■関西の設置場所は現在1カ所2台のみ。
愛媛県といえばミカンの産地としても有名だが、養殖真珠の生産量は日本一であり、全国シェアは約4割だという。ちなみに長崎と三重も真珠の主要産地として知られ、この3県を合わせた全国シェアは約9割を占めるそうだ。
その真珠が買える「あこや真珠ガチャ」は、どこに設置されているのだろうか。
「はじめは愛媛県内の数カ所に設置されて、その後は宇和島市と姉妹提携を結んでいる都市や当事務所等にも広がっていきました。今では観光地や道の駅など、人が集まる商業施設にも設置されていて、12月9日現在で全国約30カ所に設置されています」
関西では愛媛県大阪事務所に併設されているアンテナショップにある2台のみ。中国、九州では、まだゼロだという。だが設置台数は増え続けているそうなので、それらの地域にも設置される日は近いかもしれない。
■福岡から「買いに行きたい」と問い合わせてくる人も
アンテナショップを訪れる人には、旅行や仕事で大阪へ来た際に「たしか真珠のガチャガチャがあったよな」と、ついでに立ち寄るケースも多いようだ。すでに複数のテレビ番組で紹介されたことで多くの人が知るところとなったため、わざわざ「あこや真珠ガチャ」を目当てに京都や奈良など近隣の府県から訪れる人も少なくないという。
酒井さんは、人気の理由をこう分析する。
「本物の真珠が2コイン、1000円で手に入るお得感が大きいと思います。そして何が出るか分からないガチャガチャ特有のワクワク感。しかも必ず真珠が入っていてハズレがないことが、人気の理由ではないでしょうか」
こんな人もいた。
「福岡にお住まいの方から『真珠のガチャガチャが愛媛県大阪事務所にあることを聞いたので、土曜か日曜に行きたいのだけど?』という問い合わせをいただいたことがありました。しかし、当事務所は、土日は営業時間外のため、『休日も営業している真珠ガチャの設置箇所が、福岡に近いところだと愛媛にもありますよ』とご案内したのです」
しかし、車を使った場合、福岡からだと、愛媛より大阪のほうが行きやすいという。さらに、「そちらにお金を送るので、ガチャを回すのをお任せして、出た商品を送ってもらうことはできないか?」と相談されたという。もちろん、そういった対応はできないため、製造・販売元の宇和海真珠株式会社に相談いただくよう案内したとのこと。
そういう熱心な人がいる一方で「狙っていた商品が出なかったから、交換してほしい」という人もいるそうだ。
「ときどきいらっしゃるのですが、ガチャガチャは『何が出るか分からない』を楽しんでいただくものであることのご理解をお願いしたうえで、丁重にお断りしています」
いったん交換に応じてしまうと、ほかの人にも同じ対応をしないと不公平になってしまい、収拾がつかなくなる。やはり「何が出るんだろう」というワクワク感は、ガチャガチャならではの楽しみ方だ。
「今は人の交流が難しいときですが、愛媛産の真珠を身近に感じて、愛媛だけでなく四国全体にも親しみをもっていただきいと思います。そしてコロナが収束した暁には、ぜひ観光でお越しくだされば嬉しいです。「あこや真珠ガチャ」が、愛媛に関心をもっていただくきっかけになればいいですね」
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▽愛媛県大阪事務所(アンテナショップ併設)
大阪市西区江戸堀1-9-1肥後橋センタービル1階
電話番号:(06)6441-2829
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)