人生出直し?12月に増える「シークレット引越」 コロナ禍で「無人引越」にも注目集まる

 コロナ時代になり、引っ越しのあり方も変化。お客様が引っ越し先に行けず、立ち会いなしの「無人引越」が増えているといいます。12月は新しい年を前にDV被害やストーカー対策、借金を抱えた人などの「シークレット引越」の依頼も増える時期だとか。関西を中心に全国の引っ越しを受けてきた「ダイちゃんの引越サービス」(本社・兵庫県尼崎市)代表取締役の進藤大五郎さんに、最近の引っ越し事情をお聞きしました。

■コロナ禍で注目の「無人引越サービス」

 コロナ時代になり増えたのが「無人引越サービス」です。通常の引っ越しでは荷物の搬入・搬出から引っ越し作業の終了まで依頼人の立会いを必要としてきました。もちろん「当日に急用が入った」とか「高齢なので立ち合うのはつらい」「遠方の大学が決まり、本人は入学式以降しか行けないけれど、先に荷物や生活道具は送っておきたい」という理由で、これまでにも「無人引越サービス」を利用する人はいたといいます。

 しかし、コロナ禍で「本人が移動できないケース」や「コロナが怖いので引っ越しは無人で任せたい」というケースが急増。「たとえば、転勤を命じられ引っ越し先や引っ越し日も決まっているのに、会社から本人の異動は先送りされ、立ち会いなしの『無人引越』を頼まれることもありました」と進藤さんは話します。

 その時は家の鍵を預かり、家具や家電のレイアウトについて事前に打ち合わせするのですが、意外に「素人が考えるより、引っ越しのプロなら動線にも詳しいだろうし、レイアウトはお任せします」という声が少なくないとか。中には「引っ越し先からタブレットを使い、お客様の指示を仰ぐこともあります」。

■秘密厳守の「シークレット引越」

 そんな中、神経を使うのが「シークレット引越」だといいます。そして、このシークレット引っ越しが増えるのは師走の忙しい今の季節です。どうやら新年を前に人生出直したいと思う人が少なくないようです。

 DV被害やストーカー対策、借金を抱えた人など、さまざまな理由を抱えての引っ越しだからです。そして、依頼者の大半は「引っ越し先を知られたくない」のです。そのため、引っ越し業者は依頼を受けた時点から秘密厳守を徹底する必要があります。

 通常の引っ越しと異なるのは

(1)急きょ引っ越しするケースが多いこと。「たとえば、DVで苦しんでいる女性が夫のいない日時に引っ越しするため、状況によっては即日対応ということもあります」。

(2)目立たないように引越することも重要です。「夜逃げ」という言葉がありますが、最近は「昼間の時間帯の方が目立たないので、昼間に引っ越しする方が多いです」。

(3)社名のないトラックで引っ越し。「シークレット引越なので、どこの引っ越し業者を使ったかも知られないようにします」。

(4)作業も私服で行うこともよくあります。「こちらも業者を特定されないことにつながっています」。 

(5)信頼できる業者に依頼すること。「秘密保持ができ、シークレット引越になれている業者に依頼することです」。

■地鎮祭やペットの輸送なども

 引っ越し業者のサービスは引っ越しだけと思われているかもしれません。が、ダイちゃん引越サービスでは「トランクルームの一時貸出や遺品整理、リサイクル、エアコン取り付け・取り外し、インターネットの回線などもします。時には、住居探しや新築の家の地鎮祭、ペットの輸送なども行っています」とは進藤さん。引っ越しのプロはその周りに付随したこと全般も引き受けてくれるようです。

 その進藤さん曰く「あなたの肩の荷も運んでみせます」。ホンマですか。そうだったらうれしいですね。

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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