センチュリーは本当にふさわしいのか? 「最強の公用車」を日本自動車ジャーナリスト協会会長に聞いた

兵庫県が公用車を高級車センチュリーに変更したことをきっかけに、“公用車論争”が起きました。リーマンショックをしのぐと言われる経済的打撃を受けているコロナ禍において、各方面から批判が寄せられました。今月に入ると、市民オンブズマン兵庫など県内の複数団体が、解約と車種変更を求める陳情書を議長宛てに提出しました。

これまで兵庫県の井戸敏三知事は変更理由に、「県土が広く高低差がある山道を走行する機会が多く、馬力があって故障しない、信頼性の高い走行性」を第1条件とし、安全性、長距離移動での居住性、環境性能の4点を挙げていました。果たして知事が説明した選定理由から考えた場合、センチュリーは本当に要人にふさわしい公用車だと言えるのでしょうか。「最強の公用車」とは何なのか、日本自動車ジャーナリスト協会会長の菰田潔さんに聞きました。

■安全性ではピカイチ!センチュリー

--兵庫県の井戸知事が公用車にセンチュリーを選んで批判されていますが、知事の言う「安全性」という観点から考えた場合、皇室御用達車でもあるセンチュリーは優れているのでしょうか。

菰田潔さん(以下、菰田):安全性、快適性に関しては、センチュリーは最高の部類に属する車だと思います。安全性には、アクティブセーフティ(ぶつからないための安全性)とパッシブセーフティ(ぶつかった時の安全性)がありますが、周囲の車が近寄ってこないという意味での安全性も高いと思います。VIPが自分の身を守ることを考慮して乗るには必要な要素で、そうした意味で知事がセンチュリーに乗ること自体は悪いとは思いません。

■目的や道路によって快適な車は違う

--井戸知事は、兵庫県には海や山が多いので耐久性も必要だと言っていますが。

菰田:山道を快適に走ることが第一目的ならば、別の選択肢があります。センチュリーは大きいので、もっと小さいサイズの車のほうが、くねくねしたカーブの多いワインディングロードは走りやすいのです。カーブには、ロールという車の傾きが小さいスポーティな車が適しているでしょう。

コンパクトな車のほうが、重量が軽く燃費もいいので、環境性はセンチュリーよりいいと思います。

--一VIPに選ばれる公用車、社用車の傾向はありますか?

菰田:最近、会社の社長が運転手付きで乗っている車は、トヨタのアルファードやベルファイア、日産エルグランドが多いです。車内が広く、ゆったりしているので、足が伸ばせて、荷物も積めます。シートの位置が高いので、乗り降りが楽だという人もいるでしょう。

■最強の公用車にふさわしいのは、トヨタのMIRAI

--リース料や安全性など、さまざまな側面から選定する必要があると思いますが、総合的に考えて、いまの時代にふさわしい最強の公用車をひとつ選んでいただけますか。

菰田:走行性、安全性、環境性、快適性を考慮してアドバイスするとしたら、トヨタの新型MIRAIをお勧めします。水素の燃料電池車です。これからの環境性を先取りすることになると思います。また、数が少ない車なので、目立つという利点もあります。

◆菰田潔(こもだ・きよし) 1950年、神奈川県川崎市生まれ。自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、モータージャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、一般社団法人全国道路標識・表示業協会理事。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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