再婚時の悩ましい「名字」問題 思春期の子ども「高校卒業まで変えたくない」→パートナーと話し合うと…
これは友人Aちゃんの話です。Aちゃんとは高校時代からの付き合いで、現在も仲良くしている友人の1人です。
Aちゃんは高校生と中学生の2人の子どもを育てるシングルマザー。子どもたちと3人での生活を始めてから12年になります。先日、Aちゃんから報告と相談があると連絡があり、久しぶりに会うことになりました。
Aちゃんは席に着くなり「実は、再婚を考える人ができた」と話し始めました。「おめでとう!」と祝福すると、その話にはまだ続きがあるようでした。
■再婚を考えたときの問題
Aちゃんが再婚を考えたときに、頭を悩ませていたのは「名字」の問題でした。
若くして結婚・出産したAちゃん。離婚後まだ未就学児だった2人の子どもたちと旧姓に戻し、シングルマザーとして再出発していました。
その子どもたちも既に高校生と中学生。思春期真っただ中の長男は、Aちゃんが現在のパートナーと再婚したいと伝えると
「高校を卒業するまでは名字を変えたくない」と主張したそうで、長男は中高一貫校に進学していて「周りの友達に名字が変わることを知られたくない。大学に進学したら地元の友達は少なくなるから」というのが理由だったそうです。
■制度としての姓の問題
現在の日本の戸籍制度として、婚姻をする場合は夫婦どちらかの姓を名乗ることが決められています。しかし、再婚の場合は母のみが改姓し、子は養子縁組をせずにそのままの姓を名乗ることで、母と子の名字を別にすることもできます。
母と子の姓が違うことに抵抗がある場合は、戸籍上は正式に新しい姓を名乗り、学校などでは旧姓を使うという方法もあります。
また、事実婚という形を選択し子どもが巣立ってから、改めて籍を入れることも可能です。しかし、その場合はパートナーの手術の同意や万が一パートナーが亡くなってしまった際の遺産相続などの権利は事実婚の相手にはありません。
例外として、正式な遺言書がある場合は遺留分を除いて相続できる場合もあります。
このことをAちゃんに説明すると、「長男とパートナー、それぞれともう一度話してみる」と言っていました。
■その後のAちゃんは…
後日、Aちゃんに会う機会があったので、その後どうなったのか聞いてみると、相談の結果まずは事実婚にして様子を見ることにしたそうです。「万が一のことを考えると、籍を入れてないことで不安は残るけれど、長男の気持ちに寄り添いたい」と、話したAちゃんは優しいお母さんの顔をしていました。
いろいろな家族の形はありますが、当人たちが幸せだと思える選択をしてほしいと思った一件でした。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)