遊びに来たまま何日も泊まり込む息子の友人…「どうなってるの?」注意したママ友から帰ってきた残念な一言

子どもへの身体的虐待や育児放棄により痛ましい結果になってしまった事件がニュースで報じられるたびに心が締め付けられる思いになります。厚生労働省が公表した、2018(平成30)年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数は15万9850件で、前年度より2万6072件増え、過去最多を更新したそうです。先日、私の周りでもネグレクト問題に直面する出来事がありました。

■度を超えたお願いをしてくるママ友

私の友人は、誰とでもすぐに仲良くなることができ、昔から交友関係が広いタイプです。シングルマザーである自分自身のことだけでも手一杯なはずなのに、いつも周囲の人のことを気にかけ、困っている人がいると放っておけないところがあります。

面倒見のいい性格ゆえ、人に頼られることが多くて「大変なのでは」と心配になり聞いてみても「私のほうこそ、周りに助けてもらうことが多くて、ありがたいよ」と笑顔で答える素敵な女性です。

そんな彼女でしたが、珍しく人間関係で頭を抱えていると相談を受けました。

彼女の悩みの種は、度を超えたお願いをしてくるママ友についてでした。

   ◇   ◇

そのママ友とは、お互いの息子が中学校の同級生で仲良くしていたことをきっかけに、付き合いが始まったそうです。

人懐っこい人で、知り合って間もなくランチをして以来、家に子どもと一緒に遊びに来るほどの仲になったのだとか。

最初は明るい性格のママ友に一緒にいて楽しいなと思っていたそうですが、彼女が平日は在宅で仕事をしていることを知りながらも訪ねてくるようになり、「仕事があるから」と断っても「大丈夫、邪魔しないから」と家に入り浸るようになったそうです。

我が物顔でずっとテレビを見ては「お茶もらうね!自分でやるから気にしないで!」と勝手に冷蔵庫を開けて、中を物色した挙句「うわー!これおいしそう!もらってもいい?」と冷蔵庫にあるものを食べたがったり。また夜遅くに訪ねて来て、なにかあったのかと思ったら、裁縫ができないからと、翌日学校に提出する雑巾を縫ってほしいとお願いされたり、子どもが部活で着るユニフォームのゼッケンを付けてほしいと頼まれたこともあると聞きました。

私だったら絶対に断ると言いましたが、人のいい彼女は困っている人を前に、断るということがなかなかできませんでした。

その後も、ママ友は頻繁に訪ねて来て、旦那や仕事の愚痴を延々と言い、ついには「ここいる間に、せっかくだから一緒に洗濯してくれない?」とわざわざ汚れた洗濯物まで持ってきたというのです。

そのママ友の息子も、彼女の家によく遊びに来ていて、遅い時間まで時間を潰したあと、泊っていってもいいか…という流れになるらしく、そのことをママ友に連絡すると、帰るように促すこともなく毎回「助かる~!ありがとう!」と言うだけ。

あるときは、自分の家に一旦荷物を取りに帰ってから、再び彼女の家に来て「まだここにいる。しばらく泊まってきていいって言われたから」と何日も泊まるようになり、子どもが一人増えたような状態が続いたそうです。

■もしかしてこれはネグレクト?

家族さながらの友達ができることは素敵なことだとは思いますが、これではまるで彼女の優しさに寄生するパラサイトです。

正直知り合って間もないこともあり、ここまでされることは彼女も想像していなかったと困惑していました。

しかし、面倒見がいい性格というだけで彼女は、勝手なお願いを受け入れていたわけではありませんでした。

実はママ友の息子を預かっているとき、その子が家庭環境について話していたことがあり、その内容が気掛かりだったのです。

それは「お父さんもお母さんもごはんだけ置いて夜はパチンコに行っちゃうし、遅くまで帰ってこない。いつもお金が無いって言われてなにも買ってもらえないし、朝起きてくれないから弁当も自分で作ってる。親が煙草を吸って家が臭いし汚れてるからいたくない。それに…なにか言うと殴られるから」といった内容でした。

また、彼女は自分の息子からその子が学校でも「次に生まれ変わったらお前んちの子になりたいな」と言っていたと聞き、いたたまれず深刻な家庭環境を受けているその子のために、なにかしてあげたいという思いがあったようです。

■身勝手なママ友に心を鬼にして注意をするも…

といいながら、友人はシングルマザー。彼女の息子とて、シングルマザーの家庭でなに不自由のない生活を送っているとはいえない面もあります。それでも羨ましいと思うほど、親からの愛を感じられない環境にいるその子が不憫で、拒絶することなんてできなかったといいます。

しかし、その子を自分の子どもにするわけにもいかないし、このままではママ友の自分勝手さがエスカレートしていくばかり。一度ちゃんと話してみたほうがいいんじゃないと勧めました。

そして、彼女はいつものように遊びに来たママ友に対し、心を鬼にして思いを伝えました。

ママ友の子どもが抱えている悩み、望んでいること、頑張っていることなどを伝えたり、協力はしてあげたいけど子どものためにできることは、親がやっていかなくちゃね…という話をしたところ、ママ友から返ってきた言葉は残念としか言えない一言でした。

「人の家庭にいちいち首を突っ込んでくるなよ」

もっともといえばもっともな返答ですが、他人に子どもを何日も預けて、自分も人の家庭に入り浸っておきながら指摘をされた途端、手のひら返しなのですから、あまりにも身勝手な言葉です。

その言葉で彼女も一気に目が覚め、以降はしっかりと距離を取るようになったのだそうです。

その子のことを考えると心が痛いといいますが、彼女がしてあげられることにも限界があるので、あくまで息子の友達の一人として気にかけつつ、あまり深く気持ちを入れ過ぎないように気を付けているようです。

今回の件に関しては彼女も被害者ですが、ママ友の子どもが一番の被害者でしょう。その子が愛情を受けて成長できる環境に恵まれることを切に願うばかりです。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)

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