関西国際空港、年末年始の風物詩はどこへ?コロナ・イヤーを象徴する国際線出発ロビーをレポート
1年前にこの光景を一体だれが想像できただろうか。毎年、帰省や海外渡航ラッシュの年末年始の関西国際空港の様子は、暮れの風物詩となっているが、今年はコロナに明け暮れた1年であったことを象徴していた。
コロナ感染者の急増に伴う自粛、急拡大新規入国停止、GoToトラベルの休止などを受け、国内線の予約状況は各社前年の半分以下と言われている。羽田や伊丹はそれなりに混雑も見られるようだが、国際線のほとんどが飛ばず、国内線も空席率が目立つ状況の中、関西の空の玄関口はどうなっているのか、足を運んでみた。
まず、衝撃的なのが、ターミナル1の出発フロアの車寄せだ。普段はリムジンバスや送迎の一般車で一杯になっているが、数台の車と人がちらほらと信じられない光景が出迎えてくれる。駐車場もP1だけが満車で、残りはガラガラ、予約車駐車場に至っては空車だらけとこれまた年末年始とは思えないガラガラぶりだ。もちろん、車だけでない。JRと南海電車が乗り入れている関西空港駅も車寄せほどではないが、いつもの賑わいは全くない。電車が到着するたびにまとまった人影が見られるが、あとは静寂が広がる。
いつも行列で混雑しているレストラン、土産物フロアの3階エリアだが、行列どころか大半の店にシャッターが下り、歩いている人はまばらな状態だ。通常この時期は満席で入れないことがしばしばある3階奥にあるカードラウンジは普通に人がいるが、閑散期の平日昼間並程度だろうか。到着便が少ないから当然だが、到着フロアも深夜の関西空港並みに静かで人がまばら、到底ここが日本第二の国際空港という雰囲気はない。
さらに廃墟的に人がいないのが、国際線出発ロビーだ。いつもなら座るところがないほど人でごった返しているロビーだが、人を探すのが大変なほど人がいない。ちょうど出発便のチェックインをやっているカウンターが数レーン動いていたが、そこですらスタッフの影が2、3あるだけであとはどのカウンターも人がいない。通路にもほとんどいない。当然、海外保険等のその他のカウンターも誰もいない。チェックインカウンターを探す出発便が一覧で掲示されている大型電光掲示板も全て改修にはいっていた。
唯一、それなりに人がいるエリアは二階の国内線出発フロアだが、元々関西国際空港は国内便が少ない為、こちらもちらほら人はいるが賑わっているという感じはない。私の感覚では普段の深夜11時ごろの関空の様子に近い。その為かインフォメーションデスクはクローズされ、電話で呼び出すというスタイルに変更されていた。他にもトイレや到着ゲート等も大半が閉鎖、喫煙所は完全封鎖、店舗も多くがクローズ状態だ。
開港以来の危機を迎える廃墟と化しつつある関空。IATA(国際航空運送協会)では、前年度並みに航空需要が戻るのは国内線で2023年、国際線は2024年と予測している。長引くことが予想される航空不況を乗り越え、需要のあの往年の賑わいが一日も早く取り戻されることを切に祈りたい。
◆村山 祥栄(むらやま・しょうえい)前京都市会議員、大正大学客員教授。1978年京都市生まれ。専修大学在学中は松沢成文氏の秘書を務める。リクルートを経て京都市議に。2010年、京都党を発足。2020年2月の京都市長選で出馬も惜敗。現在は大正大学客員教授。