男性ばかりの職場に紅一点→なぜか社用車に盗聴器 女性と仲良くなりたい男性たちの嫉妬が招いた憂鬱
あらゆる業界・業種で女性の社会進出が進んでいますが、それは運輸業においても同じです。男くさいイメージがある運輸業は他業界と比べても労働者の高齢化が進んでいることから、労働力の確保が課題になっています。そんななか、運輸業における女性労働者の数は近年増加傾向にあります。実際、在宅勤務が増えるなかお世話になることも多くなっている宅配業者ですが、最近は女性の配達員さんをよく目にするようになりました。
とはいえまだまだ男の仕事というイメージが強い運輸業。今日はそんな環境で起きた、1人の女性をめぐる男性の嫉妬が招いたエピソードについて紹介します。
■人当たりのいい性格が裏目に…
私の友人は大学卒業後、配達のドライバー職に就きました。最初の1年はとても充実した日々を送っていましたが、2年目の配属先で職場全体を巻き込む修羅場の当事者になってしまったのです。
当時、配達ドライバーの職場は男女比でいうと圧倒的に男性が多く、女性は稀有な存在でした。友人の職場も、約100人ドライバーがいましたが、女性ドライバーは友人1人だけでした。友人はとても社交的で明るく、誰とでも分け隔てなく接することができる人当たりのいい子でした。男性とも垣根なくフランクにコミュニケーションを取ることができたそうです。そのため、新しい配属先にもすぐに馴染むことができ、先輩ばかりの環境でしたが、かわいがってもらい、楽しく仕事をしていました。
そんな友人も職場でいい出会いがあり、お付き合いをする人ができました。ただ、100人近くいるドライバーの仲がいいこともあり、祝福してもらえるとは思いつつも、業務に支障をきたしたすことになるのはよくないと思い、公にはしませんでした。相手が上司だったこともあり、言いづらいという気持ちもあったそうです。そして、これが発端となり修羅場となってしまうのです…。
■女々しい男性たちの嫉妬
それから少し経った頃「最近、上司が友人に優しすぎないか?」「いままであんなに緊張感のない上司を見たことがない。なにかあるのでは?」「いや、そんなことはない。別の上司のほうが友人にデレデレしている」など、あらぬ噂が立つようになっていました。
それもこれも友人と仲良くなりたいと嫉妬をした男性の嫌がらせでした。その頃、友人に好意をもっている人が何人かいるのを耳にしていましたし、関係のない相手と交際しているとも噂が立ちましたが、根も葉もないことだと笑い飛ばしていたそうです。
しかし、友人も内心では少し面倒なことになってしまったと思っていました。その予感は的中して、本当に関わりのある人以外は少しずつ友人と距離を取るようになっていったのです。
男性ドライバーたちは、既婚者が多かったものの、友人に自分のことを見てほしかったのです。若い女性の視線を独り占めにしたいと思う人が多くなった結果、和気あいあいととても雰囲気がよかった職場の空気は、一変してしまいました。
友人の異動により職場に明るい空気が流れ、いい影響があったことは会社も認めていました。しかし、いつしかドライバーの中ではよくない噂が立つようになり、「軽い女」というレッテルを貼られてしまったのです。友人の明るく、人当たりのいい性格が裏目にでてしまい、それを思わせぶりだと勘違いされてしまったのです。それでも、仕事はこなさなければならず、憂鬱な毎日でした。
◇ ◇
ある日、会社の上層部に匿名で「風紀を乱す女性ドライバーがいて、職場の雰囲気が悪くなった」と密告があったのです。その密告をした人にはだいたいの検討がついていました。友人のことをいつも心配している素振りで、恋人でもないのに束縛しようとしていた先輩ドライバーでした。それでも、友人のことを誤解せず付き合いのあったドライバーたちは友人のことを守ろうとしてくれていました。
しかし、その報告を受け、上層部が事実関係の調査を開始することになりました。もちろん友人の恋人である上司もその職場の責任者として、調査を受けることになりました。調査が進むにつれ、密告の内容については信憑性がなく、また友人が関わっていたプロジェクトの極秘情報まで記載されていたこともあり、調査チームが不信に思い始めた頃、友人はいつも使う社用車で変なものを見つけました。
恋人に相談すると、なんとそれは盗聴器だったのです。まさか友人も社用車に盗聴器があるとは思わず、業務連絡だけでなく、プライベートな電話などもしていました。結果的にこの調査は、友人の先輩ドライバーの行き過ぎた干渉として幕を閉じ、友人の名誉は挽回されました。
■名誉挽回も以前のような職場に戻ることはなかった
しかし、その件が解決したあとも、職場が以前の雰囲気に戻ることはありませんでした。責任を感じた友人は転職を決めたそうです。
これは普段から女性とあまり接点がなく、女性の加入に舞い上がってしまった男性陣と社交的な友人がクロスしたことによって起きた悲劇です。職場恋愛は仕事に対してモチベーションが上がる半面、人間の嫉妬、妬みがつきまとうものなのかもしれません。とくに女性の存在が珍しい業種・業界では、珍しいことではないのかもしれません。
ちなみに…その友人は、職場での人間関係がトラウマになり現在はフリーランスとして1人で仕事をしています。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)