保健所ではおとなしかった子猫、隣の部屋のベランダを探検し昼寝をしてしまう肝っ玉の据わった猫に

幼い頃からずっと猫を飼いたいと思っていた清水さん。保健所で念願の子猫と出会い、よもぎちゃんと名付けて暮らしている。保健所で見た時はおとなしい子猫だったが、一緒に暮らし始めると、意外に大胆な一面も。

■おとなしい子猫

2012年の夏、よもぎちゃんは、母猫や兄弟と一緒にいたところを、保健所の人に母猫と一緒に捕獲された。子猫たちは6月上旬くらいに産まれたようだった。

東京都に住む清水さんは、幼い頃から猫を飼いたいと思っていたが、実家では飼うことができなかった。実家を出て一人暮らしを始めて落ち着いた頃、縁があれば猫を飼いたいと思うようになったそうだ。

2012年7月25日、そろそろ猫を迎えたいと思い保健所に収容されている猫の見学に行くと、気になる子猫がいた。生後1カ月半で、同じくらいの月齢の白猫と一緒にケージに入っていた。職員によると、

■ごはんをしっかり食べて、要求鳴きも

白猫の子猫は元気いっぱいの暴れん坊だったが、子猫はその子とは対照的。ケージの隅っこでおとなしく座っていた。

抱っこすると清水さんの胸にしがみつき、鳴き声ひとつあげずにじっと顔を見つめていた。清水さんは何やら縁があるように感じて、その日のうちに子猫を連れて帰った。帰路、子猫は電車の中でも鳴き声ひとつあげずに縮こまっていた。「保健所で会った時はとてもおとなしかったのですが、翌日には、子猫らしく部屋中で暴れ回り、ごはんもよく食べ、要求があるとニャーニャー鳴きました。トイレは家に来たその日に覚えました」

額にうっすらとよもぎの葉っぱのような模様があったので、清水さんは「よもぎちゃん」と名付けた。当時は耳と尻尾だけが黒く、他は真っ白な毛並みだったが、1歳になる頃には顔にも体にもどんどん模様が出てきて、同じ猫とは思えないほど見た目が変わった。

■嬉しい時も辛い時も寄り添ってくれる

よもぎちゃんは、パンとフライドチキンと焼き魚の匂いが好きで、清水さんが食べているとすっ飛んでくる。宅急便の配達員など初対面の人が来ると、自分から匂いを嗅ぎにいくほどフレンドリーだが、撫でられそうになると激しく猫パンチする。しかし、清水さんにはすっかり心を開いていて、夜になると清水さんの腕枕で眠る。

おっとりしているが大胆不敵なところもあり、清水さんが目を離したすきに隣のお宅のベランダに入り込み、探検した後、すやすや昼寝を始めてしまったことがある。「その時は肝を冷やしました。ネズミのおもちゃで必死に呼び寄せ、無事に我が家へ帰還。その事件以降、窓などが空いている時は目を離さないよう気をつけています」

辛い時も、嬉しい時も、よもぎちゃんは清水さんのそばにいてくれる。「大きな精神的支えになってくれています。言葉は通じませんが、それが良い時もあり寂しい時もあり…。生活に癒しと生きがいを与えてくれると思っています。高熱を出した時や落ち込んでいる時は、いつもと違う雰囲気を察するのか、そばに寄り添ってくれることもあります」

一緒に暮らして今年で8年になるが、それまで見たことないような可愛い仕草や表情をすることが度々あり、毎日が新鮮。これからもよもぎちゃんが幸せに長生きできるよう、清水さんはよもぎちゃんの下僕(しもべ)として前向きに生きていきたいと言う。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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