たこ焼が汁そばと仰天タッグ!意外にイケる「明石焼き」感覚…富士そばと銀だこのコラボで実現
24時間営業で首都圏を中心に約130店を展開する大手チェーン「名代 富士そば」が、築地銀だこ監修の「銀だこそば(うどん)」(税込500円)を販売中だ(1月5日ー31日)。実際に都内の店舗で食べ、その経緯やコロナ禍で逆境に立つ飲食店の思いを担当者に聞いた。
「銀だこそば」の垂れ幕を東京・高円寺店で目撃した。「多幸(タコゥ)来(キタ)る」のキャッチコピーと、汁そばに浮かぶ3つのたこ焼というビジュアルに胃袋をつかまれて店内へ。2019年に同チェーンで発売された「タピオカ丼」を取材した記者として、それに準ずる「分かりやすさ」を感じる一方、「和のコラボ」として、この組み合わせは「あり」かも…と思いを巡らせながら、自販機に500円玉を入れて食券を購入し、新商品と初対面した。
そばの上に鎮座した3つのたこ焼は直系約5センチほどのボリューム。ソースは付いていない。揚げた状態で表面はサクッとしているが、汁に浸かった部分は出汁をしっかり吸っていて、まさに「明石焼き感覚」だ。多めにまぶされた鰹節が、たこ焼とそばを融合させ、違和感がない。たこ焼の中の紅ショウガもアクセントに。そして、たっぷり汁を吸った粉ものは腹持ちがいい。
同チェーンを運営するダイタンホールディングス株式会社の開発企画広報担当・工藤寛顕氏に話を聞いた。
──初の試みですか? 経緯は。
「たこ焼を乗せたそばは平成17年に阿佐ヶ谷店で販売しておりました。今回は(築地銀だこを運営する)株式会社ホットランド様と昨年10月にお会いする機会があり、冗談半分で『やっちゃいますか!』という話を実現した次第です。新年のご多幸のお祝いと『富士そばで遊ぼう!』という楽しさで明るい話題を発信したく、1月に決定しました」
──ほぼ全店舗で販売とか。
「本来、タぺストリー(販促を目的にした)商品は全店舗販売が基本です。契約でフライヤーを使えない店舗のため調理ができない歌舞伎座駅前店を除く全店舗で販売しております」
──「20万個のたこ焼き(6万6666食)」がなくなれば早期終了とのこと。この数字が意味するところは?
「タペストリー商品として、富士そばが全店舗で販売する出庫数合計が約6万食ー8万食/月です。1月で売れるであろう量をご用意しました」
──テーマは?
「銀だこそばに関しては『明るい話題』ということで、見た目から仕上げました。何でも乗せれられる立ち食いそば店ならではの発想です。試食会でNGやネガティブな意見はなく、あっさりと商品化が決まりました」
──なぜ新春の販売に?
「『明けましておめでとうございます!』を付けて宣伝したかったので、あえて年始に挑戦しました。結果としてはホットランド様の赤い富士山のデザインがとても目をひいて店頭アピールが強いです」
──柏店と北千住東口店では、たこ焼ソースで食べる「ほぼ銀だこそば(うどん)」(税込550円)、武蔵小山店では、たこ焼21個を盛り付けた「年明けうどん」(税込1500円)を限定販売。こちらの狙いは?
「狙いは『楽しい発信』以外にはありません。遊び心のある店舗の心意気を最大限に引き出し、富士そばらしさでアピールすることにしました。面白い商品ができたと思っております。お客様に楽しんでもらうことができれば、店長の自信や成長、やりがいに繋がります。本年も失敗を恐れずに楽しい発信を続けたいと考えていいます」
──コロナ禍で、そば店も厳しい状況と報じられています。「銀だこそば」は起爆剤となるでしょうか?
「コロナ禍は飲食業界も、その他の職種の方々も、世界的に厳しい状況だと感じております。収束・終息に向けて社会情勢に従う、協力するしか策がないのが現状です。その中で『銀だこそば』は今までになかった意外性という面では面白い商品ですが、売上には執着していません。株式会社ホットランドの協力してくださった方々に顔向けができる程度の販売実績で十分です。私が期待するのは『富士そばを通して遊んでくださる方』が増えることです」
販売期間は、首都圏で再発令された緊急事態宣言と重なった。1人、アクリル板の狭間でササッと食べ、ササッと店を出る。そこに「ささやかな楽しさ」を感じる。コロナ禍の日常は続く。
(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)